豚肉を染めた“偽牛肉”も登場?中国の怖すぎる毒食品ウラ事情

デイリーニュースオンライン

止まらない中国の食品不正  (C)孫向文/大洋図書
止まらない中国の食品不正 (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。2016年4月6日、京都府の食品メーカー「丹波ワイン」が、賞味期限が大幅に過ぎたローストビーフを自社レストランで提供していたことが発覚しました。日本の知人から伺ったところ、老舗料亭による食材偽装、大手菓子メーカーによる賞味期限切れの原料使用など、過去にも日本では食品に関する不正が問題になった例がいくつかあるようですが、いずれも危険性は中国の食品不正の比ではありません。

■一向に沈静化しない中国の食品不正

 古い食材の使用、有害物質の投与など中国では食品不正が常態化していることは、日本でもご存知の方は多いと思います。僕も拙著『中国のヤバい正体』(大洋図書)などで、中国の食材の危険性を何度も訴えています。各国のメディアによりその事実が世界中に知れ渡ったにも関わらず、中国国内の食品不正は一向に沈静化していません。

 最近の例をあげると、15年12月に広東省広州市の農家が「クロルピリホス」という化学薬品を農薬として使用していたことが、CCTV(中国中央電視台)の番組で報道されました。クロルピリホスは高い殺虫能力を持つことからシロアリ駆除などに使われる一方、人体に有害な物質を含むことから中国国内では農薬使用が禁止されています。他にも農園内には「カルボフラン」、「ホレート」などいずれも有毒性を持つ薬品の袋が散在していました。広州市は高温多湿の気候で夏場は虫害が発生しやすい土地であり、農家は強力な殺虫性を期待してこれらの薬品を使用したようです。

 これらの例は、日本にとって「対岸の火事」ではありません。12年5月、山東省の農家が見栄えを良くするために輸出用の白菜にホルマリンを噴射していたことが発覚しました。また14年8月には、広東省の農家が通常は7日程度かかるモヤシの育成速度を3日程度に短縮するために、「重炭酸ナトリウム」、「6–ベンジルアミノプリン」という、いずれも高い発がん性を持つ薬品を成長促進剤として使用していたことが発覚しました。ちなみにこの農園で育成されたモヤシは毎日3000kg程度が国外に輸出されていたそうです。

 現在でも居酒屋、ファミリーレストランなど日本の廉価外食チェーン店の多くが値段の安さから中国産野菜を使用しています。上述のような危険性の高い野菜が日本で連日消費されている可能性もあるのです。

 食材偽装も中国では日常茶飯事です。育て方の違いか中国産の牛肉は日本産の牛肉に比べ脂肪が少なく肉質が悪いものが多いのですが、中国国内の一般家庭、精肉店やレストランでは牛肉の質を良くするために、通常は膨らまし粉などとして利用される「炭酸水素ナトリウム」(重曹)がひんぱんに使われます。

 炭酸水素ナトリウムには肉質を柔らかくする効果があり、牛肉を2週間程度浸しておくと豆腐のように柔らかくなってしまうそうですが、その際に肉の中の有機酸が反応し炭酸ガスを発生させるそうです。炭酸ガスは肉の表面に白い気泡を発生させます。そのような状態の肉を加熱調理すると炭酸水素ナトリウムが「炭酸ナトリウム」という物質に変化し、体内に取り込むと胃や腸に刺激を与え、結果、発がん性を高めるという報告が中国の医学界から発表されました。

 また中国国内を旅行した外国人が現地の料理店で牛肉料理を食べた時に違和感を覚えることが多いようですが、これはおそらく「偽牛肉」によるものでしょう。偽牛肉とは豚肉を色素で染め上げ、「牛肉膏」という牛肉風味の化学薬品で味付けした偽装食品で、味わいが不自然に濃いことが特徴です。偽牛肉に使用される化学薬品は、中国国内ではインスタントラーメンの粉末スープの材料に使用されることもあり、やはり発がん性を持つ物質です。また最近では「羊肉膏」という羊肉風味の色素も流通しており、現在の中国の食卓には豚肉を元にした偽肉が氾濫しています。

 古来より中国国内では様々な食材や調理技法が発明され、それらは華人たちの力により世界中に広まりました。「世界三大料理」とも称される中華料理ですが、本場たる中国本土の食に対する現状は劣悪としか表現できません。僕は先人たちが産み出した文化を踏みにじる現代の中国人たちに失望を感じます。

 対して日本では食品問題が発生するたびに企業が自主回収を行うなど厳格な処置が行われます。中国の機関メディアは「日本の食材も危険性がある」といったニュアンスで、日本の食品問題を報道しますが、当の中国人は日本社会の潔癖さを確信するという皮肉な結果となっています。僕は安心して食事が楽しめる日本の中華料理店に入店するたびに、あらためて日本人の食に対する衛生意識の高さを痛感するのです。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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