悪質とされたボランティア団体と震災報道のゆくえ|やまもといちろうコラム (2/2ページ)
■震災に便乗する面々も
そうなると、被災地がSNSの情報流通の根拠となるような最新情報を掲載し続け、それをみんな見ろ、という一次情報の確認の徹底が必要という話になるわけですが、困ったことに、ただでさえ大変な状況に陥っている被災地がネット住民の正しい状況理解のために、ネットに人を割いて最新情報を掲載する手間をどう取るのか、という問題はどうしても発生してしまいます。
それでもきちんとホームページでボランティアの受付から不足物資の掲載まで出してくれたほうが、その地域で何が問題となっているのか分かるでしょうという話でもありますが。
さらには、被災地報道における既存マスメディアの「お行儀の悪さ」なども、SNSで広く問題視されるようになってきました。テレビ局などは、放送法の要請で大事故大事件があったときこれを報じることを義務付けられているため、この辺は程度問題なのでしょうけれども、寝ている被災者に強烈なライトを当ててテレビが実況中継をしているというような騒ぎを見ると、ある種の代表取材制のようなものにして対応したほうがいいんじゃないかとさえ思うようになってきます。
良くも悪くもSNS界隈が成熟してきた一方、東日本大震災の教訓は相応に周知されているのかな、と思う次第ですが、個人的に「東日本大震災のときは、あれほど前に出てきてうざいぐらいあれこれ言っていた孫正義さんが熊本の件では静かな件」と「東日本大震災であれだけ微妙な言動を繰り返していた上杉隆が、どういう理由か勝手に名誉回復したことにしている件」はとても気になりました。どさくさに紛れてタバコ銭を集めるがごとき催しを開催されるなどしてますが、何をしているのでしょうか。
かねがね思うんですが、この手の大災害が起きるたびに、知識人や著名人の知的な良し悪しや本性のようなものが現れるというのは、実に興味深い現象だなあと思う次第です。
まあ、一番どさくさに紛れているのは熊本の大地震のお陰で消費税引き上げを見送ったり、あれやこれややろうとしている筋なんでしょうが。
著者プロフィール

ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)