曖昧答弁で反省の色ナシ?清原初公判に見えた”裏社会への配慮”
覚せい剤取締法違反(使用など)に問われた元プロ野球選手でタレントの清原和博被告(48)の初公判が5月17日に開かれ、球界のスーパースターの変わり果てた姿がメディアを騒がせている。大きな焦点は清原被告の更生と実刑の可能性だ。さらに「現役時代は使ってない」という主張を疑問視する声もあり、そこには清原和博被告の思惑が見え隠れしている。
■入手ルートはぐらかし…反省に疑問符
公判では検察側が「引退後も注目される存在でありながら犯行に及んだ」と厳しく追及。清原被告の両腕の肘内側に複数の注射痕があったことから「常習性が高く再犯の可能性がある」と断じ、初犯にしては重い懲役2年6月を求刑した。
清原被告は容疑を認めており、法廷で家族の話題が出ると嗚咽。さらに親友の佐々木主浩氏(48)が情状証人として出廷した時にも涙を流すなど泣き通しで、かつての「球界の番長」のイメージからは考えられないほど法廷で小さくなっていた。弁護側は清原被告が反省していることなどを理由に執行猶予を求めている。
初犯で所持量も少なかったため、普通なら執行猶予は確実。しかし、常習性の高さをうかがわせる行状が目立ち、社会的影響力の大きさもあって「実刑」の可能性は十分にあると予測されている。
その要因の一つとされているのが「本当に反省しているのか?」という点だ。
「清原被告は密売人から覚せい剤を入手していたのは認めつつ『暴力団関係者とは認識してませんでした』と発言。それ以前の入手ルートに関しても『密売人が紹介してくれた方からです』とハッキリ答えなかった。さらに使用量や頻度に関しても『分からないです。覚えてないです』の一点張り。核心を終始はぐらかしていました」(週刊誌記者)
入手ルートに関しては沈黙も同然。もちろん報復を恐れている部分もあるだろうが、見方を変えれば暴力団に気を遣っているともいえる。これでは暴力団と完全に縁を切るつもりがないと疑われかねない。また、薬物依存症リハビリ施設の代表が「更生の意志がちょっと弱い」とスポーツ紙の取材で指摘するなど、専門家からも更生が疑問視されている。
■現役時代の使用否定は球界との慣れ合い?
もう一つの注目点だったのが「使用時期」の問題だ。清原被告は覚せい剤に手を染めた時期について「引退してから少し先です」と主張し、現役時代に使ったかと問われると「使ってません」と明言した。
だが、同じく覚せい剤で逮捕歴のある巨人時代のチームメイト・野村貴仁氏(47)は現役時代に清原被告に覚せい剤を渡していたと証言。覚せい剤や大麻などの調達を頼まれたといい、具体的に「1998年に(清原被告は)覚せい剤を飲んで三試合連続ホームランを打っていた」とまで語っていた。
現役時代の使用を否定したと伝え聞いた野村氏は「えっ……」と取材陣の前で絶句。「裁判を左右するようなことは言えない」としながらも、野村氏は「向こう(清原被告)は自爆したやんか。(これまでの清原被告の発言で)膝が痛いから使ったって」と清原被告の証言に疑問を呈した。
なぜこのような食い違いが発生したのか。
「もし清原被告が現役時代から使っていたとしても、証拠でもない限りは認めないでしょう。現役時代からとなれば、ただでさえ野球賭博騒動でガタ落ちとなった巨人のイメージは失墜。野球界全体にとっても消えない汚点となる。清原被告は釈放後、何らかの野球に関係した仕事をしたいと希望しているようです。タレント業などは不可能でしょうからね。保身のためにも、野球界にこれ以上の迷惑は掛けられないわけです」(前同)
日本プロ野球名球会の理事長・山本浩二(69)が「もちろん除名はしない。野球界への恩返しをできるようになってほしい」と清原被告にエールを送るなど球界は応援ムード。清原被告も球界に配慮して発言しているとなれば「慣れ合い」のようにも感じられる。これではファンは余計に不信感を抱いてしまいそうだ。
判決は今月31日に言い渡されるが、果たして司法はどのような判断を下すのだろうか。
- 文・佐藤勇馬
- ※個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、ネットや携帯電話の問題を中心に芸能、事件、サブカル、マンガ、プロレス、カルト宗教など幅広い分野で記事を執筆中。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など多数。