【元アイドル刺傷】尾行やセクハラは日常?ストーカー予備軍を生む危険な土壌

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【元アイドル刺傷】尾行やセクハラは日常?ストーカー予備軍を生む土壌
【元アイドル刺傷】尾行やセクハラは日常?ストーカー予備軍を生む土壌

 シンガーソングライターとして活動する大学生・冨田真由さん(20)が5月21日、ファンの岩埼友宏容疑者(27)に刃物で20ヶ所以上刺されて意識不明の重体になる事件が起きた。これを受けてアイドルや歌手のファン交流イベントが続々と中止する事態になっている。インターネットが発達し、ファンサービスの増えた現代における無名のアイドル・アーティストの活動リスクを再確認させる格好となった。

■容疑者の病んだ素顔も明らかに

 今回被害に遭った冨田さんは弱冠20歳のシンガーソングライター。ライブ前に、ファンだった岩崎容疑者に東京都小金井市のライブハウスのある雑居ビル前で襲われ、刃渡り約8.2cmのナイフを使って顔や首、腹、腕など20ヶ所以上を刺されて心肺停止の重体に陥った。

 岩崎容疑者は、中学時代に90kg超級で柔道の全国区の大会に出場していた経歴をもつという。その後スポーツ推薦で高校に進学するも退学。コミュニケーション能力に難があったとされている。

 冨田さんとの交流については、ネット上に多くの足跡を残している。ツイッターでは冨田さんにプレゼントした時計や成人向け雑誌のやり取りで感情を高ぶらせたり(冨田さんがそれらを差出人不明という形で岩崎容疑者へ返却した模様)、犯行予告めいた発言を行なったりしている。ブログでは当日に「人を何らかの行動に駆り立てるのはたいていの場合、意欲などではなく羞恥だ」と題した記事で「行ってきます!」とつづっている他、5月中に「お前の努力を全部無駄にしてやりたい」「もう怒りでしか動けそうにない」などとストーカー行為を示唆する書き込みを続けていた。

 岩崎容疑者は犯行当日、JR中央線の武蔵小金井駅から冨田さんの後をつけていた。その様子が防犯カメラに記録されていたことが判明するなど、時間が経つごとに事件当時の状況等も明らかになっている。

 また現場にいた目撃者とおぼしきネットユーザーが、事件発生時に「スタッフが棒立ちだった」「犯人が『俺がやった』とアピールしていた」などと発信。事実であれば現場が異様な状況になっていた様子がうかがえる。岩崎容疑者本人も、警察に対して「殺すつもりだった」と述べているという。

 過去には2014年5月にもAKB48が岩手県滝沢市で実施した握手会で、一般男性が川栄李奈(21、現在は同グループを卒業)と入山杏奈(20)にノコギリで切りつけるという事件、グラビアアイドルの柳ゆり菜(22)が握手会で暴行を受ける事件などが起きた。今回の事件は、それらを上回る最悪のケースとなった。

 襲われた冨田さんは、期間限定のアイドルユニット「シークレットガールズ」に所属していたが、現在はシンガーソングライターとして活動中だった。今回も、冨田さん本人がツイッターやブログで告知していたとおり、あくまで音楽ライブに出演予定で、ライブへ行こうとしたところで岩崎容疑者に襲われた。しかし、ガールズユニット「A応P」やアニソン歌手・Rayが交流イベントを中止するなど、各業界にファンサービスの自粛ムードが広がっている。

「事件のポイントの一つはSNS。ファンが憧れの人物とゼロ距離で会話できる、昭和の時代にない便利なツールです。しかし容疑者の感情に拍車をかけ、炎上騒ぎよりもひどい結果を招いてしまいました」(芸能プロ関係者)

 ファンとの交流に常にリスクを抱えるのが知名度の低い地下アイドルだ。2005年12月に「会いに行けるアイドル」をコンセプトとしたアイドルグループ「AKB48」が生まれて以後、それに影響を受けてか、握手会や食事会など、ファンとの距離が近いアイドルが今まで以上に増加傾向だ。またアニメ・漫画文化の人気の高まりと相まって、芸能界で活躍するコスプレイヤーなども登場。ファンに崇拝されるシンボル的な存在が多様化している。

「テレビで話題ではなくとも、SNSを通じて多くのファンを抱える地下アイドルやコスプレイヤー、アーティストはたくさんいます。彼女らが無名のため表には出ていないものの、ライブハウスの会場近くでファンに待ち伏せされて後を付けられたり、握手会の際に言葉や態度でセクハラされたりといったトラブルは日常茶飯事。運営側も慣れっこになっていて、それらにいちいち個別で対応することもなく、半ば放置されているケースも少なくなかった。ストーカー予備軍を生み出す土壌は確実にあります」(芸能プロ関係者)

 ファンと近い距離で活動することの危険性を再認識させた今回の事件は、彼らの活動やファンとの関係にどんな影響をもたらすのか。今後の推移を見守りたい。

文・橘カイト(たちばな・かいと)
※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。
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