毒ガスと機関銃の地獄絵?天安門事件で両足を失った男が語る真実 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

「事件当時、中国の機関メディアはデモ参加者たちが解放軍の兵器を奪って抵抗活動を行ったと報道しました。それは事実でしょうか?」

「それはデマ情報です。デモ参加者たちのほぼ全員が交戦する意思はなかったのです。そのためデモ鎮圧におもむいた解放軍も当初は私たちを攻撃する様子はありませんでした。しかし一人の学生が解放軍兵士の銃とヘルメットを強奪したことにより、一気にデモ参加者は攻撃対象となりました」

「その学生は中共政府側の『差し金』ではなかったのでしょうか。偽装工作は彼らの常套手段ですからね」

「おそらくそうでしょう」

「僕は動画サイトで熟睡中の学生が戦車に圧殺され、『ミンチ』になってしまう映像を見たことがあります。あれは実際に発生したことなのですか?」

「事件後に私が入院した時、毎晩悲鳴を上げている女性患者がいました。医者に彼女のことを問い合わせたところ、彼女がデモ参加時、親友が戦車に圧殺された光景を見たことが原因で精神を病んだと伺いました。当時彼女と同じような症状に陥った人物が多く発生したそうなので、その映像は真実だと思います」

「各国のメディアで天安門事件が報道される際、広場前に戦車を進入させないために仁王立ちする、『王維林』と呼ばれる男(通称・戦車男)の映像がひんぱんに使用されます。事件の象徴ともいえる王維林ですが、彼は何者だと思いますか?」

「あくまでも私の推測ですが、王維林は『解放軍はデモ隊を攻撃する意思がなかった』というプロパガンダ用の『仕込み』だと思います。なぜなら事件発生当時、中共政府は事件に関するあらゆる映像を隠蔽したにもかかわらず、王維林の映像だけは世界中で公開され続けたからです」

「なるほど、中共政府は『我々は学生を一人も殺さなかった』という印象を植え付けたかったということですね」

「しかし、主に欧米のメディアが『独裁政権に立ち向かう学生たち』といったニュアンスで王維林の映像を公開したため、世界中で反中的な風潮が発生しました。そこで中共政府はやむなく映像規制に踏み切ったのだと思います」

 今回は事件の当事者から貴重なお話を伺いました。日本のみなさんが真実を知り、あらためて中共政府の危険性、そして中国の民主化の必要性を認識していただければ幸いです。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

「毒ガスと機関銃の地獄絵?天安門事件で両足を失った男が語る真実」のページです。デイリーニュースオンラインは、方政天安門事件中国連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る