「エロトピア・ジャパン展」レポート 突き抜けたらエロもエンタメに

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「エロトピア・ジャパン展」レポート 突き抜けたらエロもエンタメに

ラブホテルや秘宝館、イメージクラブなど、日本独自のエロをテーマにした初の展覧会「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」が、6月11日(土)から7月31日(日)まで、東京・渋谷の松濤にあるアートスペース・アツコバルー arts drinks talkにて開催される。

会場では、写真家/編集者の都築響一さんが収集してきた秘宝館コレクションをはじめ、ラブホテルやイメージクラブの写真、オリエント工業製のラブドールなど、日本ならではのエロ文化が集結した。
『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展 
文化・産業面だけでなく、アートとしてのアプローチを通じて、さまざまな日本独自のエロクリエイティブを紹介している。

開催前日の内覧会では、都築響一さんご本人が、日本のエロクリエイティブへの溢れる愛を語ってくださった。

撮影:市村岬

エロクリエイティブにあふれるラブホテル

会場では、全国から選りすぐった60点以上のラブホテル写真を展示。回転ベッドや全面鏡張りの壁、洞窟のような内装、和を感じる伝統的な部屋から宇宙的な空間まで、いずれもオーナーのこだわりがつまった部屋ばかりだ。

その特徴的なデザインは、海外の有名建築家・デザイナーからの感心も高い。しかし、風営法の影響から、多くの施設がすでに閉店。今後も再現は不可能だという。

「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」ラブホテル写真

都築さんは、「こういったラブホテルは減少しつつあるので、もし地元にあるなら、一刻も早く訪れべき」と呼びかけた。

筆舌に尽くしがたいエロ展示の数々
「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」2
鬼怒川秘宝殿の閉館(2014年)が記憶に新しい秘宝館

世界的にも唯一無二だというこの日本のセックス・ミュージアムは、1971年の元祖国際秘宝館(三重・伊勢)のオープン以降、全国に拡大。最盛期は全国に20箇所近くあったものの、現存するのは熱海秘宝館と、部分的に秘宝館的要素のある伊香保の女神館のみ。

今回展示されているのは、元祖国際秘宝館や鳥羽SF未来館から都築さんが引き取ったもの。

所有するコレクションのほんの一部ながら、独特の感性で表現されたエロと未来は、言葉にしがたい圧倒的なインパクトがある。

セリフ合わせだけで30分? 観客のいない演劇・イメクラ

風俗産業においても、日本独自のエロ文化が現れている。“イメクラ”と呼ばれるイメージクラブには、さまざまな妄想を抱えた客が来店。

展示されているオフィスの給湯室や体育倉庫、山小屋、電車内などのシチュエーション下で繰り広げられるのは、都築さんいわく「観客が1人もいない中で行われている演劇」。なかには自ら台本を持ち込み、セリフ合わせからスタートする人もいるという。

風俗詩の前で語る都築響一さん

同様に、風俗産業ならではの芸術として展示されたのは、風俗店のサイトやメール(いわゆるスパムメール)に見られる煽り文句だ。

日本随一の風俗街だった西川口の店舗による煽り文は、都築さんが収集した中で最もグルーヴ感にあふれたもの。「これもひとつの現代詩、とんでもないところに無名の天才がいた」と、高く評価している。

実際に触れるラブドール、会場限定アダルトなグッズ&カクテルも

日本のエロをテーマにした展覧会として、なくてはならない存在・ラブドール。今回は有名ラブドールメーカー・オリエント工業の工場風景や、ドール本棚を展示。

また、実際に触ることができるラブドール・望月かおるも登場。高いものでは1体70万円前後という感触を味わえる。



このほか、エロのさまざまな側面を取り上げた同展では、70代でAV男優デビューを果たした人や、300人以上の奇抜なヌード写真を撮影するも写真界から認められることのなかったアマチュアカメラマンなど、生涯を通じてエロに人生を捧げてきた“性の追求者”を紹介している。

「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」会場

会場では物販やバーも併設。特製ピンクローターやTENGAの女性用ブランド・irohaのアイテムといったアダルトグッズを販売。一方、バーでは「まんこい」など、らしいネーミングのアルコールを用いたカクテルを提供。オリジナルグッズとカクテルメニューは、会期中に増える予定だ。

「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」カクテル

なお来場者には無料コンドームを配布。さらに先着200名には、1998年に開催された「都築響一のくるくる珍日本紀行展」のポスターがプレゼントされる。

笑い、エンターテインメント性が日本のエロクリエイティブ
都築響一さん
前述のようなユニークなデザインのラブホテルや秘宝館があるのは、世界的に見ても日本だけだ。ヨーロッパには、いくつかセックス・ミュージアムがあるものの、「どこかインテリ(学術的)で上から目線」で、日本とは異なる雰囲気だという。

回転ベッドや全面鏡張りのラブホテル室内などは、性的欲求を満たすうえで必ずしも必要なものではない。秘宝館も同様に、来場者を欲情させる類のものではない。そこにあるのは、エロをも笑いに昇華させるエンターテインメント性だ。

本来の目的とは異なるベクトルに突き進んだ結果、日本独自のクリエイティブが発揮されている。

クールジャパンなんかやめて、日本のエロクリエイティブに注目してほしい」と都築さんは冗談交じりに語っていた。

掲載している写真は、展示作品のごく一部。会場では、それぞれの作品に対する都築さんの数万字に及ぶ解説を掲載したリーフレットも閲覧・購入することができる。

そんな、あさっての方向に努力した日本のエロに対する誇るべきこだわりの数々を、ぜひその目で確かめてほしい。

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