天才テリー伊藤対談「山本晋也」(3)赤塚先生は予測を超えた変な人だよ (2/2ページ)
テリー 僕も、たこさんから、話をよく聞かせてもらって、「俺も仲間に入りたいなぁ」って、いつも羨ましく思ってましたよ。
山本 ああ、そうだったんだ(笑)。それで、ある日の深夜3時ぐらいに、面白グループと飲んでいた赤塚先生から突然電話がかかってきたんですよ。「今、映画を作ることになったんだけど、撮るのはカントクに決まっちゃったの」って(笑)。
テリー ワハハハ、すごい話だ。ところで、カントクから見て、赤塚さんというのはどんな人でしたか?
山本 とにかく僕たちの予測を超えた変な人でしたね。例えば「明日、餃子パーティをやるから来ない?」って言われて、次の日に先生の事務所に向かったら、赤塚先生が道路に布団を敷いて寝てるんです。
テリー 何ですか、それ?
山本 いや、僕もわからないから聞きましたよ。そしたら、「これ、おもしろい?」って、それだけ(笑)。もう一事が万事、そんな調子でね。映画も、ものすごくお好きで、仕事場には映画のVHSがズラ~ッと並んでて、話しだすとまあ、細かいし、うるさい(笑)。
テリー カントク、こりゃ赤塚さんの話だけで本が1冊書けそうですね。
山本 そうだな、いつか書きたいね。よく覚えてるのは、「先生、よく『これでいいのだ』っておっしゃってますけど、何でもかんでもに使っちゃ変じゃないですか?」って言ったら、「あれは、高いハードルを越えた時に初めて使う言葉なんだよ」って。
テリー 悩み苦しまないとその境地まで行けない、ということですね。深いな。
山本 そう。だから僕は、死ぬまで「これでいいのだ」って言うことはないんじゃないかな。