世界に激震が走っても…いたってノンキな”SEALDsの面々”
世界は間違いなく激動の時代に入った。
まずアジアでは、中国軍艦による尖閣諸島への接近、それに続いて九州での領海侵犯が発生。軍艦を出してきたのは初めてで、日中間の緊張レベルを一気に引き上げた。また中国が勝手に領有権を主張する南シナ海での緊張も続いており、米国が空母を航行させて牽制を続けている。
その米国でも、まさかのドナルド・トランプ(70)大統領誕生の可能性が高まっている。
そこへ来て、英国のEU離脱の衝撃が世界を襲った。残留派・離脱派が拮抗していたとはいえ、離脱が決定。早速、スコットランドも英国からの離脱を再び狙い始めたように、英国と欧州に少なからぬ混乱を巻き起こすのは必定だろう。
民主主義、グローバリズム、移民、安全保障、新自由主義経済……。世界のあり方に対する賛成と反対がせめぎ合い、何が正解なのかを誰もが模索している。
そんな中で近付くわが国の参議院議員選挙では、これまで以上に深い思考と広い視野での投票が有権者に望まれる。ましてや、初めて選挙権が18歳まで引き下げられる選挙だ。最近の<意識の高い若者>たちこそ、きっと世界情勢を見据えた投票行動をしてくれるはず──。
■「SEALDs」の関心事とは
♪今回ばかりは野党を応援っ! 今回ばかりは野党を応援っ!
と、ノリノリでラップを披露(注1)してくれたのは、学生中心の政治団体SEALDsのリーダー格、奥田愛基君(23)。野党三党首(民進、共産、社民)と市民連合の集会での姿だが、もはや<若者と政治>となれば必ず取り上げられる存在だ。
が、最近の彼はすっかりフィクサー気取り。
「完全に(SEALDs集会と)同じ日に安倍首相の街宣ぶつけてきてる。負けてられない」
と、首相をライバル視するのは、いくら何でも自意識過剰だが、
「〇〇区の△△さんは、僅かですがリードしてる予想が出てる」
「??区の☆☆さんも五分五分の大接戦」
「市民がどれだけ動くかにかかってる。一人区#選挙」
「投票先が分らない人にはアドバイスしますよ〜」
奥田君はTwitterで野党共闘を操っている感を出しつつも、指示まで出している。しかし、この間に起こった世界の激変に対するコメントは無い。中国軍の領海侵犯も英国のEU離脱も、彼の言う民主主義のあり方や、戦争法案とレッテルを貼った安保法制と深く関わってくるはずなのに。
「SEALDsは、若者を多少なりとも政治に向かせた功績はあると思う。ただ、反安倍とか民主主義とかワンフレーズを繰り返すだけで、ならば具体的に何が問題で何をどう変えたいのかが伝わって来ない。こんな彼らを大仰に持ち上げて見せた野党ともども、参院選で真価が問われますね(注2)」(SEALDsウォッチを続けるジャーナリスト)
ラップ調でがなったり、激しいだけで中身の無いアジテーションを繰り返したり。派手なことはして見せるが、世界情勢への洞察力や基礎的な教養が問われるシーンではダンマリ。これが若者代表だとしたら、少し残念なのだが……。
いやいや、こんなデータもある。最近、東大新聞が新入生を対象にしたアンケートでは、自民党支持率が過去最高の30.3%、民進党4.5%、共産党1.7%。また朝日新聞でも日経新聞でも、18~19歳を対象にした調査では自民党支持が野党支持を圧倒している。
これらの若者か、SEALDsか。どちらが賢く、正しく未来を見通しているか? その審判も下される。
(注1)ラップを披露…フジロックでもやるらしい。
(注2)参院選で真価…参院選後にSEALDsは解散するらしい。
著者プロフィール
コンテンツプロデューサー
田中ねぃ
東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ