わずか30秒で効果を発揮!聞き手の関心をつかむ「BIGPR」

Suzie(スージー)

わずか30秒で効果を発揮!聞き手の関心をつかむ「BIGPR」

『チームを動かすファシリテーションのドリル』(山口 博著、扶桑社)の著者は、ビジネスパーソンに対する能力開発プログラムを数多く実施してきたという人物。

その能力開発プログラムは、「ビジネスパーソンが体得するべきスキルを分解し、1分間の反復練習により身につけられる形式であること」が特徴です。

本書は、そんな能力開発プログラムのなかから、「強いチームをつくるために必要な、ファシリテーション(会議などがスムーズに進むように支援すること)を高めるスキル」に焦点を当てたもの。

そのなかから、きょうは、プレゼンテーション時にわずか30秒で効果を発揮するという「BIGPR」をご紹介したいと思います。

■BIGPRは聞き手の関心をつかむスキル

著者によれば、「BIGPR」はわずか30秒で聞き手の関心をつかみ、聞き手をこちらの話に集中させることができるパワフルなスキル。面談でも、電話でも、会議でも、プレゼンテーションでも、その他のどのような場面においても活用できるのだといいます。

ちなみにこれは、Background(背景)、Introduction(自己紹介)、Goal(目的)、Period(時間)、Role(役割)の5つの頭文字をとったもの。

プレゼンテーションの冒頭に、「そのプレゼンテーションを行う背景」「自分自身の紹介」「プレゼンテーションの目的」「必要な時間」「相手に期待する役割」を伝えることだというわけです。

この手順を踏むことにより、プレゼンテーションのセットアップを効果的に行うことができるのだとか。

BIGPRを実施することにより、「この人は、こういう目的で説明してくれているんだな」「30分、聞かせて貰えばいいのだな」「この人は、私にA案がいいかB案がいいか判断してほしいのだな」というようなことがわかるため、聞き手は安心してプレゼンテーションを聞きはじめることができるというわけです。

逆にこれを行わないと、聞き手は「いったいこの人は、どういう目的で話しているんだろう?」「私にどうしろというのだろう?」というようなことが気になったまま、話に集中できないという状況が生まれてしまうことに。

■BIGPRでプレゼンが成功するポイント

BIGPRのB(背景)とI(自己紹介)は、簡潔に行うことがポイント。

「前回、語彙論を多数いただきましたので、再度整理してプレゼンテーションさせていただきます(B=背景)、販売部の山田太郎です(I=自己紹介)」という具合です。

お互いに顔と名前が一致するメンバーばかりのなかでプレゼンテーションする場合は、「前回の続編を実施させていただきます。この製品開発担当となり張り切っています。よろしくお願いします」というように、現在の心境を入れることも効果的。

そしてG(目的)とP(時間配分)は、連動させて話すとスムーズに表現できる場合が多いといいます。「本日は競合会社の類似商品の特徴を(G=目的)、30分でご紹介させていただきます(P=時間配分)というようにつなげるわけです。

■BIGPRでいちばん難しいのが役割のR

残るR(役割)とは、聞き手に期待する役割。このプレゼンテーションを聞いて、どういう役割を果たしてほしいのかを伝えるのです。

たとえば、「気軽にお聞きになって、自由に感想をおっしゃっていただければ幸いです」「ニーズに合うかどうかの意見をお聞かせください」「本日は、買うか、買わないかの判断をしていただきたいと思います」といった内容。

なおBIGPRのなかで、修得にいちばん時間がかかるのがRだといいます。日本のビジネスパーソンには、これを冒頭から伝えることに抵抗を感じる人も多いというのですが、なんとなくわかる気もします。

とはいえ、このRをクリアに示すことができるようになると、プレゼンテーションの目的に加え、さらに一歩踏み込んで「聞き手にどうなってほしいのか」「何をしてほしいのか」を伝えられるため。目的が果たされやすくなるのだそうです。

■電話でBIGPRを使うときはシンプルに

電話での会話の冒頭に行うBIGPRは、さらにシンプルに行うことが大切。

電話の場合は、このBIGPRができるかどうかで、その後の話が続くかどうかが大きく左右されるのだいいます。

具体的には、「〇〇しました(背景)、橋本です(自己紹介)」と、背景と自己紹介をワンセンテンスで表現するのがポイント。

さらに「〇〇のために(目的)、○分(時間配分)、〇〇していただきたく(役割)お電話しました」という具合に、目的と時間配分と聞き手に期待する役割を、これもワンセンテンスで表現するわけです。

ここではご紹介できませんが、実際には冒頭で触れたとおりの「1分間の反復練習」も豊富に掲載されています。そのためシンプルかつ実践的に、ファシリテーション力を向上させるためのスキルを身につけることができるのです。

著者によれば、「1日1分」を30日間続ければ、30日後にはファシリテーションに必要な能力が身につくのだとか。

だとすれば、ビジネススキルを高めたい人には最適な内容であるといえそうです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

【参考】

※山口博(2016)『チームを動かすファシリテーションのドリル』扶桑社

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