徹底調査で明らかになった「資産10億ドル保有者たち」の共通点

Suzie(スージー)

徹底調査で明らかになった「資産10億ドル保有者たち」の共通点

世界には、資産10億ドル保有者である「ビリオネア」が数多く存在します。

しかし、彼らがなぜ成功したのか、その理由については、あまり明かされることがありませんでした。

そこで注目したいのが、『10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか』(ジョン・スヴィオクラ、ミッチ・コーエン著、高橋璃子訳、ダイヤモンド社)。

ロンドンを拠点とする世界的コンサルティングファームである「PwC」が、16カ月の徹底的な調査を行うことにより、ビリオネアたちについての真実を示してみせた興味深い内容です。

■ビリオネア共通点はマインド

ビリオネアには、人生の早い段階で、なんらかの環境や経験に出会っているというようなイメージがあるのではないでしょうか?

たとえばハンディキャップを抱えていたとか、不運な出来事を経験したとか、あるいは逆にとても恵まれた環境にいたのだろうとか。

ところが調査の結果、意外なことにビリオネアに共通する結果は特に見られなかったというのです。

それどころか、さらに深くデータを精査した結果、おもしろいことが見えてきたのだと著者はいいます。どうやらビリオネアの共通点は外的な要因ではなく、その人の内面、すなわち「マインド」にあるらしいということ。

たとえば多くのビリオネアに顕著なのは、普通の人がバラバラに考えるものごとを、ひとつにまとめて考える能力なのだそうです。

矛盾する考えや行動を排除することなく、自分のなかでうまく共存させることができるというのです。だから正反対のものを抱えながら、それでも思考が混乱しないということ。

そしてビリオネア・マインドには、次の5つの特徴があるといいます。

■ビリオネア・マインドの特徴

(1)共感力と想像力で未来を描くーアイデア

ビリオネアは、現実の顧客が抱えているニーズを読み取る共感力を持っているもの。それは実際の体験や出会いを通じて、人々が潜在的に求めているものを感じ取る能力なのだとか。

同時に、誰も思いつかないような製品をイメージする想像力も持ち合わせているそう。共感をベースに、「その先」を思い描く能力です。

いわば共感力と想像力の融合が、爆発的な大ヒットを生み出すということなのでしょう。

(2)最速で動き、ゆっくりと待つー時間

ビジネスはタイミングが命ですが、新製品の発売や事業投資の適切なタイミングを正確に予測できる人はいません。だからビリオネアは、複数の時間軸を同時に意識するのだそうです。

タイミングが予測不可能であることを知っているので、「短気」と「気長」の両面を同時に持ち合わせているということ。

チャンスをつかむために最速で動く一方、気は熟すのを誰よりもゆっくり待つということ。

(3)創造的にルーティンワークをこなすー行動

クリエイティビティと現実的な能力は相反する物だと考えられているため、クリエイティブ部門とオペレーション部門が分かれている企業も少なくありません。

しかしビリオネアは、クリエイティブなアイデアを考えるのと同じくらい熱心に実務をこなしているもの。

普通の人ならルーティンワークと捉えるような日々の仕事においても創造性を発揮し、新たな価値を生み出すことができるというのです。

(4)現在の金銭的損失よりも将来の機会損失を恐れるーリスク

ビリオネアにはリスクを好むかのように思われがちですが、それは誤解だと著者は断言します。

むしろ、ビリオネアはリスクをあまり好まないというのです。ただ、普通の人とはリスクの選び方が違っているだけ。

投資で損をしたところで、ビリオネアは特に気にしないといいます。なによりも気にするのは、いまあるお金を失うリスクではなく、将来の可能性を逃すリスクだということ。

だからこそ、たとえ失敗しても、彼らは未来のために何度でもチャレンジをするのだそうです(実際、ビリオネアの多くは初期の事業であまり結果が出せなかったり、手痛い失敗をしていたりするのだとか)。

(5)自分とは正反対の人を仲間にするー仕事相手

ビリオネアには、孤高の天才のイメージがつきまといます。しかし現実がそうではなく、決して孤独ではないのだそうです。

当然のことながら、並外れた成功を手に入れるためには、あるとあらゆる才能が必要となります。クリエイティブであるだけでなく、ときには退屈な作業をこなすことも必要であるわけです。

だからビリオネアは、自分にないものを持った人を仲間に引き入れるのだといいます。正反対の人とコラボレーションすることによって、ビジネスの限界を突破するわけです。

このようにビリオネアの傾向を客観的に取られてみせた本書は、読み物としても十分に楽しめる内容。また当然ながら、ビジネスにおいてのブレイクスルーの手段を模索している人にとっては、大きな参考となるでしょう。

(文/作家、書評家・印南敦史)

【参考】

※ジョン・スヴィオクラ&ミッチ・コーエン(2016)『10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか』ダイヤモンド社

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