秋津壽男“どっち?”の健康学「掃除しだいでは思わぬ異変が起きることも。鼻と耳の垢、その知られざる“正体”」 (2/2ページ)

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 特に悪いのが綿棒による耳掃除。通常の耳かきと違い、綿棒は耳垢を取るのではなく押し込んでしまうため、気がつくと鼓膜の前に耳垢の固まりを作ってしまいます。すると耳の聞こえが悪くなり、耳鼻科で吸引してもらわねばならなくなります。プールのあとなどに耳の水分を吸い取るならまだしも、奥まで突っ込むと耳垢は取れなくなり、たまりすぎると鼓膜が見えなくなることさえあります。

 つまりは「見える範囲」でいいのです。

 鼻掃除は気をつければ人体への影響もありませんが、耳掃除は放っておいても外に出るうえ、掃除をすると聞こえにくくなるリスクもあるのです。

 また、耳垢は乾いたタイプと湿ったタイプに分かれますが、湿った耳垢は遺伝によるものです。湿っている場合、耳の中にあるアポクリン腺から分泌される汗が原因となり、体臭が強くなります。汗そのものは臭くなく、汗についたバイ菌がニオイを発し、腋臭の原因となります。

 また、耳垢にはちょっとした長所もあります。虫の多い地域で耳の中に虫が入る人は少なくなく、虫が入る人には耳垢がありません。つまりは防虫効果もあるのです。

 彼女の膝の上で耳掃除をしてもらうのはとても楽しい行為ですが、医学的にはやらなくていいこと、と覚えておいてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「掃除しだいでは思わぬ異変が起きることも。鼻と耳の垢、その知られざる“正体”」」のページです。デイリーニュースオンラインは、耳垢週刊アサヒ芸能 2016年 9/22号“どっち?”の健康学秋津壽男体臭社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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