日本の小学生は軍国主義?中国の自称”知日派”によるデタラメ報道

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中国人が自国メディアの偏向報道について語る (C)孫向文/大洋図書
中国人が自国メディアの偏向報道について語る (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年9月4日から5日にかけて、中国・浙江省の杭州市でG20(20ヶ国・地域首脳会議)が開催されました。中国のメディアはこぞって今回の会議を「大成功した」、「杭州はとても平和で綺麗だった」と賛美の言葉を書き立てた一方、多くの海外メディアは「失敗に終わった」などと辛辣な評価を寄せています。しかし国内の反応を見てみると、多くの中国人が自国メディアの偏向報道を鵜のみにしている様子でした。今回の例に限らず、昔から中国には虚言、捏造情報が溢れかえっています。

■中国に蔓延する日本のデタラメ情報

 僕は子供のころから日本に強い興味を持っており、頻繁に中国の知日派学者たちが手がけた書籍を読んでいました。彼らの大半が日本に留学や滞在した経験を持つ人物であったため、当時はインターネット環境が普及しておらず、学生だったという面もあり僕は学者たちの意見を全面的に信用していたのですが、今振り返ると書籍の内容はデタラメばかりでした。

 僕が1995年に読んだ書籍には、日本の女性用着物の背中部の帯は収納用のもので、日本の女性は帯を使って本を持ち運び読書すると記述されていました。これは「日本人は読書好きな教養の高い民族」という好意的な意味合いでの捏造かもしれませんが、中には悪質なものも数多く存在しました。僕が2003年に杭州市の書店で立ち読みした知日派学者の書籍には、日中友好として日本のある小学校のグループが中国の小学校に訪れた。日中の小学生たちは遠足に出かけ野外で料理を作ったが、中国の小学生は「小皇帝」などと呼ばれ一人っ子政策の下甘やかされて育った者が多く、炊事が上手くこなせない。一方、日本の小学生たちの多くが普段から家事を手伝っているため、美味しい料理を作ることができた。そして、帰国時に日本の小学生たちが空港へと向かうバスに乗り込む際、一人の日本人の男の子が中国人の男の子を指差し「次に日本と中国が戦争をしたら、絶対に負けないからね!」と叫んだという内容が記述されていました。

 学者は「日本にはまだ軍国主義の学校教育が残っている。中国は警戒しないといけない」と結論付けていましたが、訪日前の僕はこの話を信用し、将来日本で暮らした時に日本人と上手く交流できるのか不安になりました。しかし、訪日後僕は日本の社会には左派・自虐思想が蔓延しており、書籍に記述されているような子供は存在し得ないことに気がつきました。そして映画「硫黄島からの手紙」や「永遠の0」を視聴して、日本人にとって第二次大戦で敗北した相手はアメリカであり、中国に負けたという認識はほとんど持っていないことを知りました。上述の学者の記述は、日本の小学生が中国の小学生より優れていたことに対する「負け惜しみ」だと思います。

 また中国の歴史教科書には、アメリカ軍の攻撃が日本を降伏させる決定的要因になったという歴史的事実はあまり記載されず、中国共産党が日本軍を撃退したと印象づけるような編集が行われています。つまり中国の知日派学者たちの意見は、自国の教科書に掲載されている「捏造された歴史観」にもとづくものです。

■意図的に間違えたBBSの投稿

 そして、中国にインターネット環境が普及すると、「自称」知日派たちが誤った日本論を投稿しはじめました。僕が2006年に反日BBSで見かけた日本に留学している中国人の投稿は、「日本の家庭は子供が高校生になったら、強制的に家を追い出し自立させようとする。日本のアルバイト時給は高額であるため、高校生たちは家賃を払いながら生活することが可能なのだ」というものでした。

 投稿者は「日本人は自立能力を持つ民族だ!こんな連中が再び軍隊を作り中国に戦争を仕掛けたら必ず負けるだろう!」と結論付けていましたが、これが全くの作り話であることは日本のみなさんは当然わかるでしょう。僕が投稿者に返信を送り数回チャット会話したところ、どうやら彼は日本アニメの愛好家のようで、上述の投稿内容は「一人暮らしの主人公が多くの美少女に囲まれる」という、日本のハーレム系アニメでよくある設定から拝借したと推測します。

 独裁的国家である北朝鮮では、自国の惨状や他国の繁栄を隠すためにさまざまな偏向報道が行われます。そして「21世紀の大国」を自称する現代中国の情報体制は北朝鮮となんら変わらないことを訪日後実感しました。中共体制が崩壊し多くの中国国民が「真実の情報」を知るようになれば、日本と中国は真の友好関係を築けると思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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