【日本人が知らないニッポン】徳川大御所政治の拠点・静岡県静岡市 (2/2ページ)
ですから駿府城の天守台や、そこにあったはずの天守閣がどれだけ大きかったのか、そのあたりは謎に包まれています。
一方で、徳川家康の評価は年々上がっています。
現在放映中の大河ドラマ『真田丸』ではどちらかと言えば悪役的な扱いですが、じつは「家康ってものすごい天才じゃなかったの?」という声も多いのです。
今や誰しもがその人物をインターネットで調べることができますから、勧善懲悪型の歴史観が通用しなくなっているということもあります。
その家康が晩年、大御所として政治を司る舞台に選んだのが駿府です。なぜでしょうか?
確かに今川人質時代、家康はこの地で勉学に励んでいたということもあります。
ですが、本当にそれだけの理由で「駿府を日本の中心にする」ということを選んだのでしょうか?
・太平の都
静岡市は、気候が温暖で特産品にも恵まれています。
駿河湾という良質の漁場もあり、食べるものに事欠きません。
海の幸、山の幸、そして畑の幸。
江戸幕府のエコノミースタンスは言うなれば「特産品経済」ですから、それを目指すのに駿府を拠点とするのは理に適っていたのかもしれません。
また、静岡市中心部は「石垣のある街」です。石垣というのはじつに不思議なもので、現代建築の群れを背景にしてもまったく違和感がありません。
土日になると、この周りで写生をする人も見かけます。
静岡市はいまも、むかしも「太平の都」でもあるのです。
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