秋津壽男“どっち?”の健康学「不安を覚える体のしびれの基礎知識。手のしびれを感じたら脳梗塞を疑え」 (2/2ページ)
こちらも手のしびれを感じます。代表的な症例が「椎間板ヘルニア」であり、こちらは整形外科を受診することになります。他には末梢神経の圧迫によるしびれや触感がなくなる感覚異常があり、こちらも受診は整形外科となります。
また、しびれが両手や両足に起こる場合、全身的な内科疾患や多発性末梢神経障害など特殊な病気であるケースが多く、神経内科の受診となります。
感度で言えば、手はものすごく敏感なのに対して足はかなり鈍感です。早期発見という意味でも手のしびれはわかりやすく、右半身麻痺の初期である場合、足よりも手のほうでわかることが多く、調べたら脳梗塞や脳腫瘍だった、というケースは少なくありません。対して足のしびれはたいてい、脊柱管狭窄症か坐骨神経痛です。糖尿病による血糖コントロール不良によるしびれ、膠原病により神経障害もありますが、命に関わるという点で、手ほどではありません。
脳梗塞などで足がしびれる場合、手のしびれはすでに悪くなっている可能性が高く、初期発見という意味でも手のほうが大事です。
しびれが長く続いたり、しびれる範囲が広かったり、手足がこわばる、全身に広がっていると感じたら黄信号。正座などで感じるしびれと異質である場合、早めに病院へ行ってください。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。