ビートたけし“金は人に使う”カッコよすぎるマネー哲学

日刊大衆

ビートたけし“金は人に使う”カッコよすぎるマネー哲学

「下品に徹したヤツが金儲けしてる」と現代社会を鋭く斬る“殿”。売れない芸人から、世界的な監督にまで出世を果たした彼の、経済哲学とは!?

 我らが“世界のキタノ”ビートたけし(69)が、また新たな称号を手にした。10月25日、映画監督・北野武としての芸術文化への貢献度が認められ、フランス政府から「レジオン・ドヌール勲章」のオフィシエ(芸術文化勲章)を受章したのだ。

「これまでにも数々の勲章を受章していますが、今回のレジオン・ドヌール勲章は、6種類あるフランスの勲章の中で最高位のもの。叙勲式では、“総理大臣がバナナを踏んで転ぶとみんな笑う。それは落差が出るから。お笑いのために素晴らしい賞をいっぱいもらいたい”と、照れながらもうれしそうに話していたのが印象的でした」(芸能記者)

 日本人映画監督としては、1984年の黒澤明監督以来の受章という快挙だから、その存在は、まさに日本の誇り、国民の宝である。ここで気になるのは、これまでの国内での実績、さらに海外での評価を考えると、その資格は十分に満たしているはずなのだが、日本政府からは、実はまだ一つも勲章や褒章を得ていないことだ。だが、先日、たけしの一番弟子の東国原英夫がこんなことを暴露した。

「師匠は、紫綬褒章を断ったらしいんですよ。“金くれね~からだよ”って」 長きにわたり芸能界の頂点に君臨し、ギャラもトップクラス。現在も民放全局にレギュラー番組を抱え、その総資産はとっくにウン十億円を超えるともいわれる彼が、金を理由に紫綬褒章を辞退したというのだ。それが本当なら、「お笑いのために素晴らしい賞をいっぱいもらいたい」という、フランスでの発言とも矛盾してくるような気もするのだが……。

 お笑い評論家のラリー遠田氏は、この一連のたけしの言動を、こう分析する。「紫綬褒章は、最近でこそ比較的若い俳優さんなども受章するようになりましたが、基本的には、お年を召されて第一線を退かれた各分野の功労者に授与されるというイメージがあります。フランスでの発言は、まだまだ笑いを追求する姿勢と情熱を示していますし、現役でいる限りは紫綬褒章を受けるつもりはないということかもしれませんね。“金くんね~から”というのは、もちろんギャグでしょう」

 そう、たけしが目先の金に左右されるはずなど、ないのである。先日は、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で、山積する問題の裏に、“金と利権”のニオイがプンプンする、豊洲新市場の移転問題や東京五輪の会場問題を取り上げる中、「格差社会って言うけど、下品に徹したヤツが金儲けしてるだけのような気がしてさ。恥とか、そういうものも関係なく、“金持ってるヤツが偉いんだ”みたいな感じがしてさ」とブッタ斬ってみせ、多くの共感を呼んだ。

 では、たけしにとって“お金”とはどういうものなのか。数々の伝説から、その深層に迫っていきたい。まず有名なのは、その気前の良さである。「かつて、弟子のガダルカナル・タカは、“軍団は今まで殿に総額1億ぐらいは奢ってもらっている”と話したことがありますが、とても1億円では済まないのではないかと思います。なんでも最近も、事務所の若手ライブにひょこり顔を出し、ライブが終わると30人を超える芸人やスタッフを引き連れて高級焼肉店で打上げ。そのうえ、全員をタクシーで六本木に連れて行き、朝までカラオケでドンチャン騒ぎさせて、すべての会計を支払い、最後は、全員にご祝儀の入ったポチ袋を配って帰ったといいますから」(放送作家)

 しかも若手芸人への待遇は、どの事務所よりも手厚いことでも有名だ。「たけしさんの意向で、仕事がなくても所属芸人だというだけで、毎月最低10万円が振り込まれ、結婚すれは給料が上がるといわれていますよ」(前同)

 弟子のつまみ枝豆がたけしの付き人だった時代、たけしは枝豆がベンツを欲しがっていたことを知り、「お前、ベンツが欲しいのか? いくらくらいだ?」と確認すると、翌日、700万円を袋に入れて持ってきたという伝説がある。

「“いただけません”と枝豆が返そうとすると、たけしさんは“こういうのは買いたいときに買ったほうがいいんだよ”と言って受け取らない。枝豆は3日間、真剣に悩んだ末、あらためて“やっぱりいただけません”と返すと、たけしさんは“お前は返すと思ったよ”と優しく笑って、やっと受け取ったそうです」(お笑いプロ関係者)

 また、弟子や所属タレントの借金を肩代わりしたことも数知れず。「たけしがフライデー襲撃事件を起こして謹慎中に、水道橋博士が暴行事件を起こして600万円の示談金が必要になった際には、自身が大変な時期にもかかわらず、これを肩代わり。その後、十数年かかって返済した博士に、“身内にもいっぱい(金を)貸したけど、帰ってこないのが当たり前。売れてない弟子が600万なんて返せると思って貸してないけど、お前だけは完済したな”と言って、博士を泣かせたと言います」(テレビ誌記者)

 また、所属タレントの山本モナが不倫騒動で、2度にわたり事務所に大きな損害を残した際も、たけし本人がこれを補填したという。「08年の巨人の二岡智宏との不倫騒動でフジの新番組『サキヨミ』の出演を1回で降板することになった直後には、フジ幹部に自ら頭を下げ、夏の『FNS27時間テレビ』にノーギャラで出演したという話が伝わっています」(前出の放送作家)

 なぜ、こうも、たけしはお金に寛容なのか。前出のラリー氏は、「やはり、母・サキさんの影響が大きかったのではないでしょうか」と、こう続ける。

「たけしさんの著書を読んでいると、家庭にお金はなかったものの、“誰だって金は欲しいに決まっている。だけど、そんなものに振り回されたら、人間はどこまでもいやしくなるんだ”という、サキさんの躾が徹底していたことがよく分かります。その教えがたけしさんの中から消えることがないから、お金や物に執着することがないのだと思います」

 豊洲市場移転問題や東京五輪問題を“下品”と斬ったのも、サキさんの教えの通りだったのではないか。また、ツービートの相方のビートきよし氏は、「相方は、浅草修行時代に世話になった深見千三郎師匠の影響を大きく受けていると思うよ」と、語ってくれた。

「師匠は、一緒に寿司を食いに行くと、“これで払え”って、財布預けて先に出ていっちゃうの。で、勘定払って、板前さん3人に祝儀配るんだけど、祝儀のほうが勘定より高いんだから。だから、師匠は寿司代があっても祝儀代がないときは寿司屋に行かない。そういう粋な金の使い方が、身についちゃってんだろうな」

 一方で、こんな話もある。「お付きの若手に1000円を渡して、飲み物を買いに行かせたとき、“お前、お釣り200円あるだろ”と返却を要求したというんです(笑)」(放送作家)

 これに対し、前出のお笑いプロ関係者は、「いつもは何百万も奢るのに、200円返せっていう、そういうギャグを弟子とやりたいんだと思いますよ。そういうところも、深見師匠に似ているのではないかと思います(笑)」

 最愛の母と師匠、2人の偉大な先人の美学を受け継ぎ、スケールを日本一、いや世界レベルにまで大きくしたのが、たけしの「お金論」ということか。すごくカッコいいけど、簡単にはマネーできないっての!

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