金正恩氏が忌み嫌う「脱北」…逃げれば問答無用で射殺 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

見せしめといえば昨年5月、金正恩氏はスッポン工場を現地指導した際、工場の管理不行き届き理由に工場責任者を処刑。公開直前の激怒の現地指導の動画を公開してまで、幹部や住民に恐怖心を植え付けた。見せしめというには、あまりにも冷酷きわまりない統治方法だ。

金正恩氏や、彼の指示に従う治安機関にとっては、こうした方法は効果があるようだ。現地の住民たちは「昼間でも怖くて川には近づけない」と恐怖に震えている。国境地域の住民の中には、国境警備隊員と親しくしている人も少なくないが、そういう人ですら川には近づけない雰囲気だ。

しかし、脱北を厳しく取り締まることは北朝鮮全体の不利益に繋がる。例えば、国境警備が強化されると密輸ができなくなり、物価は上昇する。そして市民の不満が地方当局に向かう。また、国境警備隊自身も「脱北や密輸の幇助」という利権を失うことになるからだ。

金正恩氏が公に脱北や密輸を認めることはもちろんできないだろう。しかし、こうした不法行為が必要悪として、今の北朝鮮経済を支えているのも事実だ。なんでもかんでも恐怖で抑えつけようとする金正恩氏の統治方法はいつか綻びを見せるだろう。

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