深刻な温室効果ガスである「牛のゲップ」が、海藻サプリメントで減らせる!? (2/2ページ)

FUTURUS

牛のゲップはエネルギーの浪費

このAsparagopsisという海藻は、ブロモフォルム(CHBr₃)と呼ばれる化合物を生み出す。その化合物は、ビタミンB12と一緒に反応することで、メタンの発生を抑える働きをする。内臓の中の細菌が消化をしてメタンガスを出す際に利用する酵素を破壊してしまうのだ。

家畜が出すメタンガスは、単なる環境問題ではない。家畜のゲップは、本来動物が生育に使うはずのエネルギーの浪費でもあるのだ。じつは飼料代の約15%は、メタンガスとなって排出されてしまっているという。畜産家にとって、これは小さな問題ではない。

もし畜産家が海藻を使って飼料を補うことができれば、ふたつの大きなメリットがある。環境問題への対処と限られた飼料を使って生産量を増やすことだ。CSIROとジェームズ・クッック大学は、MLA(Meat and Livestock Australia)からの資金を得て、海藻の家畜への影響に関してさらなる研究を進めている。

また、海藻の生産は世界的にも盛んになっているという。いっぽうオーストラリアの肉牛や乳牛の餌の10%をまかなうには、約30万トンの海藻が必要であり、世界的な規模にまでスケールアップしようと思うと、何百万トンもの海藻が必要になる。

今後の研究しだいでこの量は減らせるかもしれないが、たとえそれが半分程度になったとしても、6000ヘクタール程度の海藻農場が必要になるという。しかし、漁業が廃れてきた発展途上国で新たな家畜の飼育が可能になるなどのメリットも生じる可能性がある。

家畜の飼料として海藻が必須の存在になり、それによって温室効果ガスの削減に寄与する時代がくるかもしれない。同時に食肉の価格が下がり、さらにおいしくなってくれれば大歓迎だ。

【参考・画像】

※Seaweed could hold the key to cutting methane emissions from cow burps -CSIRO

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