ハーバード大学にある木の切り株につくられた、くまのプーさんの家 (2/3ページ)
しかし、数ヶ月後、むき出しだった切り株のてっぺんに木の屋根がかぶせられ、まもなく新しいドアも取りつけられて、"Pooh"の表示も新たに加えられた。プーさんがハチミツの壺を抱えて戻ってきたと思ってもおかしくない。
数年の間、この家はクリストファー・ロビンの森の一角、サイエンスセンターのすぐ外のところにあった。毎日、物理のノートの入った重いバックパックを背負った学生たちが通り過ぎ、観光客が立ち止まって写真を撮る。
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プーさんがここにいる。姿は見えないけれど、ペンキが塗られたドアの向こうでおやつを食べたり、居眠りしたりしているに違いない。
しかし、ペンキははげ、木ももろくなる。プーさんの家はある日突然壊れてしまいそうにも見える。その兆候はあった。まず嵐、あるいはちょこまか動くリスのせいかもしれない。まもなく小さな蝶番が乱暴に引きちぎられてドアがなくなった。ドアの向こうの居間は、またしてもしっとりした木の中のぽっかりあいた洞になった。
プーさんの家の骨組みは、まだサイエンスセンターの外にある。屋根はほとんど損なわれていない。毎日、学生たちがそばに自転車を止めて鍵をかけ、化学の授業に走っていく。プーさん本人はどこにもいない。完全にいなくなってしまったのかもしれない。
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たぶんオウルのところに引っ越したか、ロバのイーヨーの小屋に行ったのかもしれない。それとも、クモの巣のような入り組んだ洞にひっそりと隠れて待っているのかもしれない。新しいドアがつけられて、またペンキが新しく塗られるのをじっと見守っているのかも。