単身者の味方「カット野菜」に隠された驚きの技術とは (2/2ページ)

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また、そのまま電子レンジで調理できるエダマメのパッケージや、カット販売が主流になっているスイカの鮮度を保ち、持ち運びで果肉を傷めないパッケージなど、調理スタイルの変化や、小家族化による買い物スタイルの変化に合わせた商品も多い。

■単身者の強い味方「カット野菜」に隠された驚きの技術

ただ、技術という点でいえば、最も難しいのは、一人暮らしや少人数家族の増加で需要が高まっている「カット野菜」の包装だという。というのも、通常カット野菜は数種類の野菜がブレンドされているが、その内容によって呼吸量が変わってくるのだ。

レタスが多く入っているならパッケージはOPP(二軸延伸ポリプロピレン)製のものだが、キャベツが主体ならば袋内のガス濃度をコントロールするフィルムが必要になる。数百円のカット野菜とはいえ、そこには驚くべき気配りと、鮮度保持のための技術開発が隠れているのだ。

著者の林さんいわく、本来なら同じ作物でも季節や産地、土壌、肥料や農薬のバランスなどによって適切なパッケージは異なるという。消費者が意識することは少ないが、農作物のパッケージとは、追究を始めるときりがないほど奥深い世界なのだ。

本書には、精工の試みと歴史が時代背景とともにつづられ、それはそのまま日本の包装技術の歴史とも重なる。普段、意識することなく手に取っている野菜や果物も、この本を読めば見え方が変わってくるのではないか。

(新刊JP編集部)

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