秋の改編で消える?フジテレビ幹部人事の刷新で怯える”あの看板バラエティ”
お台場がどうも騒がしい。5月9日、フジテレビの亀山千広社長(60)が6月に退任する方向であることが判明した。またフジ・メディア・ホールディングスの日枝久会長(79)も会長の座から退き、取締役相談役になる見込み。2人が前線から退くことで、フジテレビは視聴者の信用を回復することができるのだろうか。
■亀山社長の”名物番組潰して低迷番組は守る”迷采配
3月31日の定例会見では、社長退任をキッパリ否定し、フジテレビの黄金時代の思い出話に花を咲かせてご満悦だった亀山社長。しかし視聴率低迷の責任を取るべく、日枝会長とともに退任する運びとなった。亀山社長の後任にはBSフジの宮内正喜社長(73)、日枝会長の後任にはフジ・メディア・ホールディングスの嘉納修治社長(67)が就任する模様だ。
思えば亀山社長がこの4年間で下した采配は疑問符のつくものばかりだった。『笑っていいとも!』(フジテレビ系、以下同)や『ニュースJAPAN』『FNNスーパーニュース』『ライオンのごきげんよう』『新堂本兄弟』『すぽると!』など数々の長寿番組を終了させる一方、社内人事にも着手し1000人規模の異動を敢行。それでいて視聴率が低迷するフジテレビの看板枠”月9ドラマ”や『めちゃ×2イケてるッ!』『とんねるずのみなさんのおかげでした』など一部のバラエティ番組は継続してさらに視聴率が低迷するように。打つ手がすべて裏目の結果になった。
株主総会では場内が非難轟々だった時期もあり、2011年の抗議デモ以降、フジテレビを敵視する視聴者も多い。世論の風当たりは厳しくなるばかりだった。
「亀山社長は、バブリーで融通の効かない社内体質を悪化させ、番組全般の視聴率低迷を招いたと張本人という評価が一般的。バラエティは他局に惨敗し、タモリ(71)や小堺一機(61)ら大御所もお台場から去っていった。今回の退任は傾きかけている会社の責任を取らされたかたちです。さらにフジは、社内で”天皇”と呼ばれてきた日枝会長も会長職を解かれ、相談役として身を引くことに。フジテレビが大きく変わろうとしています」(報道関係者)
フジテレビ低迷の“戦犯ツートップ”が退任しとはいえ、今後の課題は山積みだ。朝から夕方にかけて他局に劣勢を強いられており、ゴールデンタイムは視聴者を引きつけるバラエティ番組が皆無。21時以降のドラマも1ケタ台に沈むものが多い。かつての”視聴率三冠時代”の遺産はコンテンツ面でも人材面でもまったく残っていない。視聴率は民放の中で下位に甘んじ、2015年には、1997年に上場して以来初めての営業赤字も記録した。
「番組編成は改編に次ぐ改編ですでに亀山社長に荒らされた焼け野原です。すでにフジテレビを離れた制作スタッフやタレントが多く、今後の舵取りは相当厳しいでしょう。注目は秋の改編期で、とんねるずや『めちゃイケ』など不良債権化したコンテンツをどう処理するのか。はやくも社内では両番組の打ち切りは確実視されていて、バラエティ班がそわそわしてるとか」(前出・報道関係者)
6月から新体制になるフジテレビ。黄金時代の栄光を取り戻すことができるのか。旧体制が頑なに守り続けてきた、とんねんるずやナインティナインらの処遇は? まずは宮内社長のお手並み拝見といったところだ。
- 文・橘カイト(たちばな・かいと)
- ※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。