メル・ギブソンが娘のために大奮闘!映画「ブラッド・ファーザー」
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映画
ポニーキャニオン配給/6月3日より新宿武蔵野館ほかで公開
監督/ジャン=フランソワ・リシェ
出演/メル・ギブソン、エリン・モリアーティほか
梅雨・6月のジメジメ感をブッ飛ばすのはオヤジ・パワー! 何せ今月は“怒れるオヤジ映画”がマルチでスタンバイ。“激オコぷんぷん丸”(もうすでに死語? 個人的には意外と好きな表現だ)と化したオヤジは怖いんだゾ! とドスを効かせてみてもダメかね。
中旬公開の『リベンジ・リスト』ではジョン・トラボルタが、妻を殺され、娘にも魔手を延ばす悪党どもに、元特殊部隊工作員としての腕を復活させ、圧倒的な重火器を駆使して大リベンジ大会を演じているが、ここは“怒れるオヤジ”の先輩(歳はトラちゃんの方が上だけど)のメル・ギブソン御大にご登場願おうか。
何せメル・ギブ旦那は出世作の『マッドマックス』(1979年)からして妻子を殺され、復讐の暴走を始める役だったので、もはやこの題材は運命付けられている? そういえば、最近でも『復讐捜査線』(2010年)で、娘を目の前で殺され、完全にアタマに来たオヤジ刑事を演じていたっけ。今回は、元犯罪者の入れ墨師という珍しい設定が新鮮だ。トレーラーハウス住まいという落ちぶれた姿が、いかにもたそがれた元タフガイ風で、よく似合ったりして。
親バカのギブソンと「死に損ない自慢」をする娘
一方、一人娘も数年前に家出してギャングとヤバいヤマを踏んでトラブルを起こし、警察にも組織の殺し屋にも追われ、最後の砦、ワラをもつかむ思いでお久しぶりのパパに臆面もなく助けを求める始末。新進女優のエリン・モリアーティがヤサグレ感満載の不良娘をイキイキと演じ“この父にこの娘あり”、“カエルの子はカエル”感がハンパない。
本来なら「ワシャ知らん」と冷たく突き放してもいいくらいだが、父親とは愛娘のためなら何でもやる生き物なんだな、と痛感した。デキの悪いコほどかわいい。ってね。昔取った杵柄、犯罪者としてのサバイバル術を駆使して娘の力に何とかなろうと野蛮な血を爆発させるが、その大甘、親バカぶりは笑えるほど。
クライマックスは自らをエサに取引を持ち掛け、意外な悪役と対決するのだが、最高に面白いシーンは中盤で、娘と“死に損ない自慢”をするところだろう。娘が「10歳で首吊り未遂したし、ヤクでオダブツ寸前なんて当たり前だったわよ」と話せば、「バイク事故で頭蓋骨パックリだし、ムショで命の取り合いは日常茶飯事」とオヤジが応える。この呼吸って『リーサル・ウェポン3』(1992年)でギブソンが女性刑事レネ・ルッソと“傷自慢”するシーンにさも似たりで、パロディーかと思わずニンマリしたね。
メルには下旬に監督専任の戦争大作『ハクソー・リッジ』(沖縄戦において、武器ナシで負傷兵士を助け続けた奇跡の衛生兵の実話)も待機中で、さしずめ6月は“メル・ギブ”月間なのかもしれない。
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メル・ギブソンが娘のために大奮闘!映画「ブラッド・ファーザー」はまいじつで公開された投稿です。