葬儀で遺骸を包む毛織物は自国のもののみ認めるという法律を作ったイギリス (3/3ページ)

心に残る家族葬



今日の日本経済や産業、そして我々が抱える生活上の諸問題は、当時のイングランドと比較できるはずはないが、日本国内の経済振興、そして伝統的な産業を守ることを目指すとしたなら、葬送儀礼の際に必ず用いなければならない布に何を用いればいいのだろうか。

旧来の日本であれば、「葬儀」と言えば白や黒の、地味で目立たない色合いで覆われた空間をイメージしてしまう。しかし多様な価値観が認められ始めている現代であれば、白や黒に限定されない、日本古来の染料、織物、刺繍の布をどこかに用いてもいいだろう。大した幅を取らないものにしても、日本人ひとりひとりがそれを積極的に用いていくことで、古い伝統が次世代に継承される。更に若手の作家によって、伝統を踏まえた、新しい芸術表現が生まれる可能性もある。そうなれば日本国内のみならず、海外の人々からも葬儀において用いられる布の中に、新しい、そして面白い「日本の美」を発見してくれるかもしれない。

■参考文献

イギリス近世都市の展開、 イギリス史 (世界各国史)、 近代イギリスの歴史 16世紀から現代まで、 暮らしのイギリス史―王侯から庶民まで

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