現金一括納付が原則の相続税や贈与税。もしも払えない場合はどうなる?

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現金一括納付が原則の相続税や贈与税。もしも払えない場合はどうなる?

相続税に限らず、日本の税金は納付期限までに現金一括納付、つまり現金で纏めて支払うことが原則となっている。固定資産税や個人の住民税では、分割納付が可能となっているが、これはごく一部である。だが、相続税並びに贈与税については、原則として現金一括納付としながらも、例外を認めている。今回は、相続税並びに贈与税の納付について触れてみたい。

■相続税と贈与税の納付期限は?納付の方法は?

相続税の納付期限は、申告期限と同一である。即ち、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から十ヶ月以内(相続税法第1・27条他)だ。贈与税の納付期限は、申告期限と同一で、財産等を貰った年の翌年の2月1日から3月15日(相続税法第28条他)までとなっている。相続税と贈与税の納付期限並びに申告期限は、同一ではないことに注意されたい。相続税並びに贈与税の納付についてだが、納付書と現金を用意して最寄りの金融機関(銀行等・郵便局)の窓口で支払うか、インターネットを利用して支払うことも可能となっている。また、コンビニエンスストアでも支払うことが出来る。

■現金一括で納付できない場合は「延納」と「物納」という制度が認められている

原則はここまでとして、次は例外だ。相続税並びに贈与税は、高額になることが多く、また、所有する資産の殆どが不動産で多額の現金を所有していない人等、高額の納税額に対応する現金をすぐに用意出来ないことも十分有り得る。これに対応するため、「延納」と「物納」という制度がある。

■「延納」とは?

「延納」(相続税法第38条他)とは、次の四つの条件を全て満たし、税務署に延納の申請を行い、同時に担保を提供した場合に、5年から20年を限度として分割納付を認める制度となっている。但し、利息に相当する利子税もしっかり取られるので注意すべきである。

そして、四つの条件とは、(1)相続税額が10万円を超えること(2)現金で納付することが困難であること(3)相続税額に利子税を加算した金額に見合う担保を提供すること(4)申告期限までに全ての手続き(延納申請書に担保提供関係書類他)を終わらせることとなっている。

担保についてだが、国債や地方債、土地等が該当する。贈与税の延納については、相続税とほぼ同一のため、省略する。

■「物納」とは?

「物納」(相続税法第41条他)とは、現金に変えて相続財産で納付することだ。やはり、次の四つの条件を全て満たし、税務署に物納の申請をして、その旨が税務署に認められた場合にのみ相続財産での納付が可能となる。ここで注意したいのは、最近の傾向では物納が認められなくなってきていることだ。詳細は専門家に相談して欲しい。

そして、四つの条件とは、(1)延納による納付が困難であること(2)現金で納付することが困難であること(3)物納する財産は相続財産であること(4)申告期限までに全ての手続きを終わらせることとなっている。なお、贈与税には物納は認められていない。物納できる財産は、国債・地方債や不動産が該当する。

■延納や物納は最終手段!

最後に、「延納」「物納」は最後の手段として捉えておくべきだ。というのも、前述のとおり税務署が申請の条件を認めなければ、原則通り現金一括納付とせざるを得ないからだ。そうなれば、何としてでも現金を用意するしか手段がなくなるが、銀行で納付目的のローンを組むことも出来るし、または不動産を売却し現金を用意するということも出来るだろう。何れにせよ税理士や弁護士等の専門家と相談し、解決策を練ることにより、自分達に最適な方法で対応する方が、精神衛生上合理的だと考える。

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