生前は美女。北極圏で発見された900年前のミイラ(ロシア)※ミイラ注意

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生前は美女。北極圏で発見された900年前のミイラ(ロシア)※ミイラ注意
生前は美女。北極圏で発見された900年前のミイラ(ロシア)※ミイラ注意

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 北極圏のはずれの地から、銅と毛皮にくるまれた女性のミイラが発掘された。男性ばかりの墓地に埋葬された、これまでのところ唯一の女性だという。

 この夏、ロシア、サレハルド近くのゼレニー・ヤールの発掘現場から現われたこの12世紀の女性は、シベリアの北の果てを支配していた名もない狩猟漁労民族の一員で、驚くことにペルシャと関係があるという。

・生前は美女だったらしい
 偶然が重なってミイラ化したようで、おそらく年齢は35歳くらい、身長は155センチ、繊細な顔立ちがはっきりわかる。

 まつ毛が長く、髪の毛も豊かで、歯もしっかり残っている。グリーンを帯びた顔は銅製の釜のようなものの破片で覆われていて、そのおかげか永久凍土の墓の中で顔はほとんど損なわれていないが、体のほかの部分の保存状態はあまり良くない。

 頭部は動物の皮、おそらくトナカイの皮で覆われていて、こめかみのところに青銅のリングが見つかり、体は樺の木の皮で包まれていた。

 ほかの遺体と同じように、この女性のミイラも近くのゴーニー・ポルイ川のほうに足を向けていた。宗教的に重要な意味があったと思われる。

 この発掘現場で、まだ歯の生えていない、女児と思われる赤ん坊も発見されたが、先の女性とはなんの関係もないようだ。

 ロシア北極研究センターの考古学者、アレクサンダー・グセフは、この美女はこの古代の埋葬地から初めて発見された成人女性であることを確認した。
保存状態の悪い骨もあり、性別を区別することは困難でしたが、その顔立ちから女性だとわかります。この美女の発見は、この墓地についてのわたしたちの概念を劇的にくつがえしました。これまでわたしたちは、ここには成人男性と子どもしか埋葬されていないと考えていたからです。女性もいたことは驚きでした
 この女性が所属していた集団は、北極圏のはずれで狩猟や漁労で生活していた。以前に36体の成人の墓を調べたときは、すべて男性で、頭蓋骨が砕かれていた。この女性は社会的に重要な地域にいた人物だと考えられる。

 子どもたちは男女の区別なく埋葬されていた。ロシアと韓国の合同科学者チームによって、これら考古学的遺体について、DNA鑑定を含むさまざまな試験が行われる予定だ。そのために、女性の脳のサンプルが抽出された。

 ロシア、チュメニにある北方開発問題研究会の研究者、セルゲイ・スレプチェンコも、頭部は銅で覆われていたため、とても保存状態が良いという。

「女性と赤ん坊は、別々の墓から発掘されたので、血縁関係があるかどうかははっきりわかりませんが、きっと母と子ではないでしょう」

 分析には1年かかる予定で、北極地方に人が存在したことを理解するのに極めて重要な分析ができるかは、政府の資金提供次第だ。スレプチェンコは女性の顔の復元もしたいと考えている。

 「土の中で遺体が自然に保存されているうちに、腐敗プロセスがストップしたのです。遺体の軟組織は、遺体を覆っていた儀式用の道具である銅からもれた溶液に浸かっていました」

 ソウル国立大学のシン・ドンフンは、世界にはふたつのタイプのミイラがあるという。人工的に作られたミイラと自然にできたミイラだ。

 「人工的に作られたミイラのいい例はエジプトのものでしょう。埋葬した遺体が自然にミイラになる場合は、たいてい環境条件がそろったときです。この場合は、永久凍土、埋葬時に銅製のものがあったこと、そして気候。ミイラは砂漠で見つかることもあれば、厳寒の北方でも見つかります。」

 「北極のミイラは、ゼレニー・ヤールで発見されたものと似ていますが、とても珍しい。だから独特な特徴があります。保存状態が極めていいミイラは、内臓までちゃんと残っていますので、我々の研究にとって、とても興味深いことです」

 ゼレニー・ヤールの発掘現場からは、これまでに南西に6000キロも離れた古代ペルシャ起源の青銅の椀が見つかっている。

 先に見つかった赤毛の男性は、ヒグマを表わした青銅のバックルと共に埋葬されていた。


via:siberiantimesなど/ translated by konohazuku / edited by parumo



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