SPEEDを地で行く上原多香子:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載168
エスムラルダの「勝手にワイドショー!」
連載第168回 SPEEDを地で行く上原多香子2014年9月、2年前に結婚したばかりの夫(ET-KINGのMC・TENN)が自殺し、悲劇のヒロイン的な扱いをされていた、元SPEEDの上原多香子。ところが、8月10日発売の『女性セブン』が、「遺族によって公開されたTENNの遺書により、自殺の原因が多香子の浮気にあったことがわかった」と報じ、多香子は無期限活動休止に。
アタシ、「多香子は地道に芸能活動を続けているんだろうなァ」(=特に書かなくてもいいか)と思い、前々回のコラムでは、今井絵理子と島袋寛子と仁絵ちゃんにしか触れなかったんだけど……。まさかその直後に、多香子の身にこんなことが起こるなんて! SPEED、今年はほんと、どうしちゃったの? この娘たち、やっぱり生き急ぎすぎ!
ちなみに今回の件、多香子が「(3年前の浮気相手とは)別の人と結婚するため、籍を抜かせてほしい」と申し出たことにご遺族が腹を立て、遺書を公開することにした、と言われているけど……アタシはかなり多香子に同情的。たしかに、浮気は褒められたことじゃないかもしれないけど(ただ、アタシ、それを責めていいのは、浮気された本人を含め、限られた人だけだと思っているわ)、遺書に書かれた内容が事実なら、TENNの自殺の原因を、単に「妻の浮気」とするのは、乱暴だと思うから。
亡くなった人のことを勝手にあれこれ言うのもなんだけど、彼が死を選んだ最大の理由は「自分が、子どもができない身体だとわかったから」じゃないかしら。絶望感や負い目のようなものがあったからこそ、妻が浮気相手と「子どもがほしい」とやりとりしていたことに、大きなショックを受けたんだと思うの。ただ妻に浮気されただけなら、たいていの夫は、自らの死ではなく、「怒る」方を選ぶもの。
そして、もしかしたら彼は「多香子に去られたら、子どもができない自分は、二度と結婚できない」「そんな自分に存在価値はない」と思いつめ、なおさら多香子に執着し、LINEを盗み見てしまったり、あのような遺書を残して、多香子の心を縛りつけようとしたりしたのかもしれない(これらはすべて、アタシの邪推でしかないけど)。
ただねえ……。人が抱える苦しみの大きさは、結局は本人にしかわからないけど、TENNにはやはり、「生きる」という道を選んでほしかったわ。多香子が本当に子どもを望んでいたなら、多香子との関係はいずれ破たんしたかもしれない。でもその先で、「自分たちの子どもを作ることにはこだわらない」人と結ばれる可能性もあったし、養子を引き取って育てる、という未来があったかもしれないもの。アタシ、本当に悪いのは、多香子ではなく、「人は~でなければならない」という思い込みや価値観だと思っているわ。
おそらく関係者全員が、やりきれない思いを抱えているであろう、今回の一件。どうかご遺族や多香子が一日も早く、心の安らぎを得られますように。
※ここでアタシから、唐突なお知らせ。
4月にやった一人芝居ミュージカル、再演するよ!
「一人芝居ミュージカル短編集vol.3」
会場:Special Colors(新井薬師)
日時:2017年9月2日(土)~12日(火)
(エスムラルダ出演回は8日(金)19時~と9日(土)12時~)
料金(税込):4,000円
チケット:https://ticket.corich.jp/apply/84854/021/
詳細:https://note.mu/rickytickyasu/n/n6ba92ffc7a2a
<水曜連載>※都合により木曜公開
おすすめCD:de part~takako uehara single collection~/上原多香子(エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ)http://books.rakuten.co.jp/rb/4271793/
【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001
連載バックナンバーはこちら →
http://mensbucchi.com/rensai-bn/20160629200300(コピペして検索窓に)
おすすめ書籍:「同性パートナーシップ証明、はじまりました。渋谷区・世田谷区の成立物語と手続きの方法」エスムラルダ、KIRA著(ポット出版)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13507222/