日野皓正の往復ビンタ:ロマン優光連載91 (2/3ページ)

ブッチNEWS

彼が悪かったところがあるとしたら、自分で始めた演奏を演奏として着地させられなかったことだと思います。まあ、私もインプロビゼーションみたいなやつを他の人とやってたら、いつの間にか一人にされてしまい、終着点が見えないままに一人で続けざるをえなかったというツラい経験があるのですが、彼もそんな感じだったのかもしれませんね……って多分ちがいます。それはともかく、マッドハニー、ステージから勝手に帰るなよ!
 ただ、彼は一人のミュージシャンとしてライブをやっていたわけではないのです。世田谷区教育委員会が立ち上げたカリキュラム、ようするに授業として、そのライブは行われていたものなのです。そうなってくると、まあ、勝手な行動として指導は受けるのは仕方がないことです。
 彼と日野さんが対等な立場のミュージシャン同士として演奏をしていたなら、納得いかない演奏に腹を立てて手が出るというのは無いことではないし、まだわかりますけど 、そういう場ではないんですよね。逆にそういう場であれば、日野さんの演奏で上手くコントロールして着地させることもできたでしょうけど、日野さんの立場は指導者、教育者なのです。そして、ミュージシャンとしての意識であそこにいたなら、日野さんも彼の様子を笑って見ていたかもしれません。しかし、日野さんはおそらく教育者的な意識でその場にいたのではないでしょうか。だからこそ、他の子にも配慮しなければならず、ああいった指導という形で収めようとしてしまったのではないでしょうか? しかし、児童に対する教師としての訓練が欠けていて、老齢で体罰が常識だったころに学生時代を過ごしている日野さんは、少年の反抗的な態度にカッとなって手が出てしまったのではないでしょうかね。世間的に許されないことではありますが、常習的な体罰教師みたいに扱うのは違うような気はします。
 結局、報道からでは二人の関係性はわからないし、普段の指導がどういうものであったかはわかりません。個人的な師弟関係に近い精神的な距離感に二人ともなってしまっていたのかなとも感じますが、媒体を通して情報に触れているだけの他人の自分にはこれ以上踏み込めないのです。何か言えるとしたら、こんなもんです。「暴力の温床になるこんなプロジェクトは潰すべし。」みたいな強い言葉も吐けなければ、「生意気な子供にはおしおきは当然。

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