【国沢光宏の言いたい放題】逆風の日産、セレナe-powerは汚名返上の1台になるのか?【第11回】 (2/4ページ)

イキなクルマで

実は私は歴史が好きなので、真っ先に思い出したのは戦時中にドイツのポルシェ博士が作った戦車の設計だったんです。このシステムってそもそもどういう利点があるのでしょうか。

国沢:まず、エンジンを動かしてエネルギーを作ってタイヤを動かすために、必ず変速機というものを使います。自転車でいえば一番軽いギアから入ってだんだん重いギアに変えますよね。ああいうものが必要なんです。また、スタートの瞬間にクラッチというものが必要です。ATでしたらトルクコンバーターというでトルクをつなぐ、MTならクラッチをミートさせる。回転させるものを合わせなきゃいけない。昔はそういった合わせるものがなかったんです。

緒方:そうなんですか?

国沢:例えばディーゼル機関車や戦車には変速機がなかった。そのため、エンジンで電気を作り、電気でモーターを駆動させればミッションもクラッチもいらないじゃないですか。これが一番理にかなっていたんです。

牧野:今、この平成の世にこのシステムをよみがえらせた理由はなんなのでしょうか。

国沢:このシステムってエンジンで電気を作りますよね? エンジンで直接力を伝えてるわけではないので、エネルギーのロスが出ます。100の力があるとして、モーターを回して電気を作るときに100のパワーは生み出せません。そして、作り出した電気を動力として伝える際にもまたロスが出てしまう。さらにモーター自体のロスも発生している。そうすると最初の100の力がせいぜい60くらいにまで落ちてしまうんです。だったら変速機の方が効率がいい。ですからこれまでのクルマは変速機が使用されていたんです。

牧野:なるほど、確かにその通りですね。

国沢:ところが、最近になってモーターの性能がすごくよくなった。発電機の性能もよくなった。さらにインバーターという作った電気を回すために間に入る制御系もあまり電気を食わなくなった。つまりエネルギーロスが減ってきたんです。

牧野:なるほど、そういう事情があるんですね。

国沢:それに加えて、もう1つ理由があります。普通のエンジンの使い方というのは、エンジンの1000回転から6000回転まで全部の回転数で馬力を出さなければいけません。

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