天才テリー伊藤対談「大仁田厚」(1)休業、欠場よりも引退を選びたい! (2/2ページ)
ただ、プロレスは技をかけて相手を倒すだけじゃなくて、それを通して自分の思いや生き様を伝えるものだ、と信じて、ただ必死に戦ってきただけなんです。その思いを、ファンにちゃんと理解してもらえたんだと思いますね。
テリー しかし、どうして7回も引退することになったの?
大仁田 その時々に、ちゃんと理由があるんですよ。最初は膝を粉砕骨折して納得のいく試合ができなくなったからだし、93年には試合後に息ができなくなって、緊急入院したんです。
テリー それって、どういう状況だったの。
大仁田 最初は扁桃炎だったんですけど、その菌が肺に回って肺炎から敗血症になって、意識がなくなったんですよ。しかも18日間、危篤状態になりましたから。
テリー え、危篤!?
大仁田 どんな抗菌薬も効かなくて、かなりヤバかったみたいですね。でも、担当の先生がプライドを捨てて、「こういう症状の患者に適正な抗菌薬はないか」と情報を開示して、全国の先生に聞いてくれたんですよ。おかげで適正な薬を入手できて、なんとか助かったんです。
テリー それは、すさまじい話だね。
大仁田 その時、「自分でキチンと引退の時期を定めなきゃいけないな」と思いましたね。デスマッチって、究極的には死を見つめなきゃいけない世界にまで突入しますからね。
テリー でも結局、何度も復帰しちゃうんでしょう。
大仁田 なんか「休業」とか「長期欠場」っていう言葉が使えないんですよね。その時その時が真剣勝負だから、やはり気持ちとしては「引退」を選ぶんです。もちろん毎回、本当に辞めるつもりでいるんですけど、いつも「俺はプロレスが好きだ!」っていう気持ちが上回っちゃうんですよ。
テリー なるほど、じゃあ、やっぱり8度目の復帰もあるってことじゃない。
大仁田 いや、それはないです、本当に(笑)。
テリー またまた。俺は全然信じてないけどね(笑)。