本好きリビドー(187)

週刊実話

本好きリビドー(187)

◎快楽の1冊
『徹底検証「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』
 小川榮太郎 飛鳥新社 1389円(本体価格)

 顧みて昨年はつくづく、芸人が束になってもなすすべのない年だったと思う。
 まがりなりにも日本の教育行政のトップに立っていた人物が、「面従腹背」が座右の銘だなどと平気で口にする(それを聞いて子供は将来どう育つのよ)のを不正を告発するヒーローに祭り上げ、怪しげな出会い系バーに足しげく通うのをして「貧困女性の生活実態調査」だのと言い張るのを真に受けてみせ、あまつさえ“あしながおじさん”扱いする大手マスコミ…。これ全部悪い冗談ではないのだ。
 もはやどこから突っ込んでよいのか分からない。自己目的化した反権力も、ここまでくれば空恐ろしいほど病的というか、異常レベルである。中でも突出して、ほとんど社を挙げて血眼で倒閣運動にのめり込んでいるとしか素人目にも感じられぬのが、加計学園をめぐる朝日の紙面づくりだったのは周知の通り。
 努めて冷静さを保つ筆致の筆者でも、朝日の余りの報道(というより極道)ぶりにさすがに業を煮やした感が時折、行間から立ち昇る。国会で間抜けな質問を繰り返して恥じない民進党の議員に特有のお家芸だが、他者を居丈高に追及してはみたものの、やがてその火の粉すべて自分に戻って降りかかる見事なまでのブーメラン現象も、朝日社説の鋼の鉄面皮には屁でもないように見える。政権を指して“認めない 調べない 謝らない”? それは、慰安婦問題、南京の真偽に関する御社では?
 ちなみに件の前川喜平氏は最近、ゆとり教育を主導した寺脇研氏と共著で本を出版した。そのタイトルに曰く「これからの日本、これからの教育」。朝日新聞お得意のフレーズをあえて使うなら、全力で頼むから“ちょっと待ってほしい”。
 おまえらは金輪際語るな!(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 富岡八幡宮で凄惨な事件が起きたことにより、神社で参拝することに意味はあるのかと疑念を抱かれた読者も多いだろう。とはいえ“神頼み”は日本人の風習。特に初詣となれば、1年間の運気を高める年中行事として定着している。そこでこの1冊を。『神さま手帖』(ワニブックス/1400円+税)。
 日本全国、強運のご利益を授けてくれる神社88社の完全ガイドだ。
 伊勢神宮、北野天満宮などわが国を代表する神社がズラリ勢ぞろいしており、しかも、どういう運をもたらしてほしいかによって、最適な神社を個人の願いに合わせて紹介している。
 ひと口に初詣といっても、御祭神と由来によってご利益は異なる。婚活ブームを反映し、最近ではどこも縁結びをウリにしているようだが、金運や勝運を願う読者が、出会い狙いの神社に出向いても意味はない。
 その逆も然り。まだ異性との交際やセックス運に恵まれたいと願うなら、縁結びにベストな神社へ祈願するべき。そうした、いわば“用途”に合わせて参るべき神社をマッチングしてくれるからありがたい。
 また参拝の正式な手順を知らなければ、神だって願いはかなえてくれない。それが意外と曖昧で、例えば、寺に詣でて柏手を打つ年配客が少なくないのも事実(柏手を打つのは神社だけ)。賽銭を投じて拝めばいいというものでもないのだ。
 著者は聖地巡礼家のyuji氏。国内・海外の聖地を回ってきた豊富な経験から、日本最強の神社を厳選した頼もしい1冊だ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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