キヤノンでの出場ゼロから復活期す。サンウルブズ招集の庭井祐輔、腕をぶす。

ラグビーリパブリック

キヤノンに加わって4シーズン目を終えた庭井祐輔。日本代表キャップ3。(撮影/松本かおり)

 期待の大きさが分かる。

 2月下旬に開幕するスーパーラグビー。その舞台で3季目の飛躍を誓うサンウルブズは、1月22日にキヤノンイーグルスの庭井祐輔と契約し、その26歳のHOがスコッドに加わることを発表した。

 庭井は怪我のため、2017-2018年シーズンのトップリーグでまったくプレーしたなかった。異例の選出と言ってもいいだろう。

 スーパーラグビー初参戦だった2016年シーズンは1勝、2017年シーズンは2勝したサンウルブズ。庭井は2季目からスコッドに加わり、10試合に出場(7試合先発)した。

 しかし、サンウルブズにとってのシーズン最終戦となった7月15日のブルーズ戦の後半途中からピッチに立ったものの、残り約10分のところで膝に大怪我を負う。ニュージーランドのチームに48-21と大勝する好ゲームも、伸び盛りのHOは大きなダメージを受けた。

 左膝脱臼骨折からのリハビリには長い時間を擁した。

 キヤノンの主将も務めているからチームのことも気になったが、どんなに急いでも復帰時期が遠い現実に、腰を据えて自身の復活に時間をかけられた。

「特に(キヤノンの)シーズン序盤は、観客のような感じで試合を見ていました。第三者の目でチームを見ることができたのはよかった。そういう立場だったからこそ見えてきたものもありました」

 長く、厳しいリハビリとトレーニングで、トップリーグ終盤には練習にも参加し、「最終戦には出たいな、と思った」というレベルまでたどり着いた。

 しかし、「最後はチームとして(自分はメンバーに)選ばれなかった」。

 トツプリーグ出場なしのままシーズンを終えた。

 そんな苦しい時間を過ごしながらも、サンウルブズとはコミュニケーションが取れていたから、今回の招集につながった。

 昨季スーパーラグビーの舞台を踏んでみて、高いレベルでのプレーのおもしろさをあらためて知った。なんとしても、そこから離れたくないと思っていた。

 昨季のプレーの中で、記憶に残っているシーンがある。第4節、ブルズとのアウェー戦だった。

 プレトリアでのこの一戦に先発した庭井は、スクラムで圧力をかけて相手のペナルティを誘った。21-34で破れはしたが、HOとして「あの試合で自信を持てた。それは、チームも同じだったと思います」と言った。

 実際チームはその3週間後、ブルズを秩父宮ラグビー場に迎えての一戦(第7節)で2017年の初勝利を挙げた。その試合でも2番を背負っていた男は、スーパーラグビーでのプレーをどんどん楽しめるようになっていった。

 復活に向けてのリハビリ中、下半身には大きな負荷をかけられなかったから、上半身を中心に鍛えた。その結果、太く、大きくなった胸回りや肩回り、そして背中。「これまで着ていた服が入らなくなった」と言うほどの筋肉の鎧を身に付けて、庭井はグラウンドに戻ってきた。

「ただ、走ってみたら体が筋肉で重すぎて…。だから、少し体重を落としました」

 自身にとっての2度目のスーパーラグビー開幕まで1か月。昨年7月15日以来立っていない戦いの中へ、はやく身を置きたい。

 トップ5を目指すチームに貢献するためのパワーをため込む時間は、十分あった。

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