「葬儀」の料金で高額請求のトラブルが多発中

まいじつ

xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
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団塊世代の高齢化が始まり、急速に“多死社会”を迎えている。そんな世相を反映して、雑誌やテレビなどでは葬儀やお墓などの“終活”を特集することが増えている。そうした終活の特集が人気なのは、多くの人が料金について、よく知らないからだ。

実際、全国の消費生活センター等に寄せられる葬儀サービス関連の相談は増加傾向にあり、近年は年間約700件を超えているというデータも発表されている。近親者との死別という事態に冷静な対応ができなかったり、葬儀社の説明が不足していたりして、料金やサービス内容に納得できず、トラブルになることが多いようだ。

では、葬儀サービスの料金に納得いかない場合、どうすればいいのだろうか。消費者問題に詳しい弁護士はこう話す。

「事業者と消費者とのあいだで結ばれる契約については、弱者である消費者を保護するために、『消費者契約法』が適用されます。例えば、葬儀社が料金やサービス内容などの重要事項について事実と異なることを告げたり、消費者の不利益になる事実を故意に告げなかったりして、消費者が事実誤認したなどの事情があれば、消費者契約法により、契約を取り消すことができる場合があります」

葬儀料金のトラブルを避けるためには?

冠婚葬祭にかける金額は地域差も大きく、一般的に簡素化が進む大都市圏よりも地方の方が高額だ。町内会や近所の付き合いもあり、しっかり内容を確認しないまま、特定の葬儀業者に任せてしまうケースも少なからずあるだろう。あとから請求書が届いて驚くなんてことになりかねない。そんな場合でも、葬儀のことで後から苦情を言うのは気まずい。

「料金及びサービス内容を含め、全面的に業者に委ねていたとすれば、『話が違う』と思っても、業者が虚偽の説明をしたり、不利益となる事実を隠したりしたわけではありません。そうだとすれば、業者との契約に消費者契約法上の取消事由はなく、業者の請求どおりに支払わざるを得ません」(同・弁護士)

しかしながら、提供されたサービスに比べて、明らかに料金が不当に高額であれば、民法上の公序良俗違反によって無効になる余地もあるという。最低限、提供されたサービスの明細を求めて、それぞれのサービス項目の単価を確認した方がよいだろう。

「どんなに業者を信頼していたとしても、また、時間がなかったとしても、料金とサービス内容をよく確認してから契約を結ぶのが大切です。できれば、複数の業者から見積もりをとって、比較検討したほうが良いでしょう」(同・弁護士)

12月22日、消費者庁はイオングループの葬儀会社『イオンライフ』に対し、景品表示法違反(有利誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。同社は全国紙に《イオンのお葬式》との名称で広告を掲載し、そこには《追加料金不要》と記載していたが、実際には全体の4割ほどで追加料金が発生していたという。

明朗会計と格安料金が特長の新規事業者でさえも、こうした不祥事は起こり得る。くれぐれも冠婚葬祭の料金には気を付けたい。

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