地獄も骸骨もドタバタ!文明開化を揶揄する明治時代の強烈な風刺画たち (2/2ページ)
右上では髪を切られながら、シルクハットと洋服を着るように勧められる閻魔様が困り顔。アイデンティティーである角を切られる鬼。中央にはすっかり角を切られて洋装をした鬼が鏡を見て、あっけらかんとしています。その姿は丁髷を切り、洋装になった男性を表しているよう。
上半身裸なんてもってのほか!江戸の習慣はもう通用しない!小林清親「清親放痴 東京谷中天王地」
谷中墓地の骸骨たちにも容赦なく文明開化が押し寄せます。暑い夏の夜、谷中の墓地で女性骸骨さんが、うちわ片手に上半身裸で涼んでいます。混浴が普通だった江戸時代。女性は裸の上半身を見られても、全く気にしませんでした。しかし西欧諸国ではもってのほか。もう江戸時代の習慣は通用しません。
「こら君!ちゃんと着物を着なさい!」と、骸骨警官からお叱りを受けています。こんな光景が夏場はあったかもしれませんね。
着馴れた着物を脱ぎ捨て、丁髷を切り、今までの常識がまかり通らない時代へと突き進んでいった日本は、西欧諸国も驚くほどの短期間で近代国家へと成長しました。しかしその裏ではドタバタと慌てふためく国民の姿があったのです。
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