鈴木哲夫の政界インサイド「被災7年、地元紙幹部が語る高齢者『孤独』問題」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

 石巻日日新聞の武内宏之氏も、こう指摘している。

「目に見える復興と見えない復興があります。7年たって道路などインフラの復興は進みました。逆に時間がたって落ち着いてくると、かえって心の問題が生じてくるのです。自分が孤独であることを実感し、なぜこうなってしまったのか、自問自答しても答えが出ない。孤独なお年寄りたちも同じです」

 石巻日日新聞は津波で輪転機が水浸しになり、そんな中でも手書きの「壁新聞」を制作したことで知られる。その「壁新聞」制作の陣頭指揮をしたのが、当時の報道局長だった武内氏だ。現在も被災地内部から、外部からはうかがい知れない現実を見つめている。そんな武内氏は高齢者の孤独死を防ぐ手だてを、こう説いている。

「復興住宅で『今朝、お隣さんの姿を見かけない』と思ったら、ドアを叩いて、部屋の中にまで入って行くぐらいの“おせっかい”があれば、孤独に悩む高齢者は減っていく。行政だけでなく、地域が一体になって取り組むべき課題です」

 政府の方針は「復興は急げ」だ。しかし、そのスピードは復興住宅に住む被災者の心情を置き去りにするもので、「おせっかい」を焼くぐらいの余裕も必要なのだ。

ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。

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