かつてアメリカ先住民が築きあげた、失われた都市「カホキア」の遺跡(アメリカ)

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かつてアメリカ先住民が築きあげた、失われた都市「カホキア」の遺跡(アメリカ)
かつてアメリカ先住民が築きあげた、失われた都市「カホキア」の遺跡(アメリカ)


 コロンブス一行がアメリカの海岸に上陸するおよそ1000年前、現在のミズーリ州セントルイス郊外の氾濫原に新たな町が生まれつつあった。

 アメリカの先住民が築き上げたその町はわずか50年の間にメキシコ北部最大の都市に成長した。

 カホキアというこの町は、10~12世紀に最盛期を迎え、当時はロンドンなどヨーロッパの多くの都市よりも規模が大きかった。

 カホキアの人口は1~2万人、少なくとも120基のマウンドがあり、これらは多くの大建造物の基礎の役目を果たしていた。

 今日でも80ほどのマウンドが残っている。 カホキアがなぜ、どのようにして衰退したのか、これはアメリカ最大のミステリーのひとつになっている。

・西暦600年頃に先住民に建設された巨大な都市

 カホキアは西暦600年頃、現在のミシシッピ川から大西洋沿岸にかけてのアメリカ南東部に住んでいた先住民ミシシッピアンによって建設された。

 この民族は文字を残していないので、彼らが自分たちのことや町をなんと呼んでいたかはわからない。ミシシッピアンが住んでいた時代からだいぶたった17世紀になって初めて、フランスの探検家によってこのエリアはカホキアと名づけられた。

 考古学的な発見からは、町は広大な都市の中心部のまわりに広がっていたことがわかる。

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・規則性を持つ都市空間

 この都市は、行政、儀式的行事、エリート集団、住宅地、さらに郊外までが区域をはっきりと定められていて、すべてが基本的に同様の方向性をもっていた。

 周辺に広がる農地では、住民がトウモロコシや豆、ウリなどを育てていた。その発展の絶頂期には、カホキアはメキシコや中米などメソアメリカ北部の中心都市になっていた。

 1780年代にフィラデルフィアの人口がカホキアをしのぐようになるまで、アメリカのどの町よりも大都市だったのだ。

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・特徴的なマウンド

 カホキアのもっとも目を引く特徴はマウンドだ。中でも最大のモンクス・マウンドは高さが30メートルもある。

 モンクス・マウンドは、カホキアの行政の要と言われていて、もともとはマウンドの上に長さ30メートル、高さおよそ15メートルの建造物があった。

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カホキアの中心的存在、モンクス・マウンド

 マウンドの機能はミシシッピ文化共通の特徴でもあるが、基本的には神殿と考えらている。また、発掘調査によって墓としても使用されたことが判明している。

 墓は被葬者の身分によって様々なタイプがあった。副葬品には、貝殻ビーズ、バイ貝やホラ貝の容器、真珠、打ち出し細工を施した銅板などが見られる。

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 このマウンドを建てるのは、とても大変な作業だったに違いない。数百万立方フィートの地面を掘り、引っ張っては積み上げるという作業すべてを人力でやったのだから。


・カホキア滅亡最大の原因は洪水

 カホキアの人口は1100年頃にピークに達したが、その後減少の一途をたどり、最終的に1350年には消滅した。

 人口過密や過剰な狩猟、環境の悪化、気候変動、伝染病や戦争がその要因と考えられたが、この地が見捨てられた最大の原因は洪水だった。

 2015年、カホキアの北、数マイルのところにある、ホースシュー湖やグラッシー湖から採取した堆積物を分析したところ、1100年~1400年の間に少なくともふたつの大規模な洪水があったことがわかった。これは、カホキアの人口が減り始めた時期と一致する。


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モンクの丘 image credit:Steve Moses / Flickr

 これらの湖に堆積物がたまるには、ミシシッピ川の水位は海抜より10メートルも上昇したはずだ。このせいで、付近の穀物が水浸しになって食糧不足を引き起こした。結局、人々はこの町を捨てて移住することになり、ほかの先住民族と同化した。

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image credit:Bart Everson / Flickr

 かつて繁栄を誇ったカホキアの遺跡は、1982年に「カホキア・マウンド州立史跡」として世界遺産に登録された。2200エーカーのこのエリアには、70以上のマウンドが点在している。


Cahokia - City of the Sun
References:amusingplanet / en.wikipedia/ written by konohazuku / edited by parumo
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