14年目の交流戦「セ・リーグが弱い本当の理由」 (2/2ページ)

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「セ・リーグは全体的に3ボールカウントになって粘られたら(ファールが続く)、四球で歩かせて仕切り直そうという考えが浸透しています。走者がたまった後、パ・リーグのバッターはフルスイングしてくるので大量得点のビッグイニングになってしまう」
 ここでも指名打者制が影響している。セ・リーグの投手は打席に立つ。自身がインコースのエグイところに投げれば、打席に立ったときに「お返し」を食らう。自身がお返しを食らわなくても、自軍の主力バッターが必要以上の内角攻めに合う。パ・リーグの投手は打席に立たないので、「お返しがどうの」ということは基本的に考えない。
 したがって、パ・リーグの投手も内角を攻める割合が多くなる。バッターも厳しい内角攻めを当然と受け止めており、自ずと対戦のレベルも上がっているというわけだ。

 こうした関係者の証言を検証してみると、セ・リーグも指名打者制の導入を考えたほうが良いのかもしれない。セ、パ両リーグを経験した投手出身のプロ野球解説者がこう言う。
「セ・リーグは投手が打席に立つので、犠打を使う場面が多い。内野守備のディフェンス・サインはセ・リーグのほうが細かく、奥行きも深いと思います」
 そもそも、交流戦が導入されたのは、パ・リーグ側の経営難を救うためだった。導入前年の04年は近鉄とオリックスの合併騒動に揺れ、当時、巨人人気による地上波のテレビ放映料を得ていたセ・リーグ側が手を差し伸べたのだ。初期の目的は、完全に果たされたと言っていい。

 交流戦の導入によって、球宴、日本シリーズの稀少価値が下がった。交流戦の期間中、プロ野球の興行収益が大きく上るということもない。交流戦そのものの在り方が問われているが、「セ・リーグ、頑張れ」の声がパ・リーグ球団のファンからも聞こえているくらいだから、それなりの関心を持たれているのだろう。セ・リーグが強くならないと、交流戦が飽きられてしまうだけだが…。(スポーツライター・飯山満)
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