『透明なゆりかご』出産後の妻の死という重いテーマに、出産の奇跡を見る (2/2ページ)

日刊大衆

それらを見ながら、もうこんな生活は無理だと泣き出す陽介。一人弱音を吐くが、そのとき子どもと目が合い、この子には自分しかいないと気づき、また生きる決意を固める。

 今回は、出産直後に母親が死亡するという、あってはならない事態がテーマだった。子どもは、無事産まれ、母親と退院し、笑顔で子育てに入れるものだと思いがちだが、今回の話では、それがいともたやすく覆される。

 陽介も妻が死ぬとは思っておらず、緊急搬送される際も、ただただうろたえていた。それまで笑顔で接していた医師に対し、つかみかかって妻の死の責任について問い詰めていた。陽介が怒りと悔しさで目を充血させてどなり散らすシーンは、見ている側も、思わず息を飲んでしまうほどの鬼気迫るシーンだった。

 身近に頼れる親族もいない若い男性が、妻に先立たれ、子どもと2人生きていくのはどれだけの覚悟が必要なのだろう。陽介が思いつめ、死を選ぼうとしたときに、命を救ったのは、ふだんから忘れっぽい夫のために、妻が残していたメモだった。「子どもが泣いていても寝てていいんだよ」「無理はしないで」「でも生きてね」「死んじゃダメだよ」。なぜ妻はそんなメモを残したのだろうか。推測だが、妻は、非常に心配性だったのではないだろうか。もしかしたらすぐに退院できないかもしれない。死までは考えなくても、もしもを考えて残したメモだったのではないだろうか。そう考えると、そのメモにどれだけの愛がつまっていたのだろう。
 
 子どもを授かるということ、母子ともに健康で家に帰ること。今回の話は、それがどれだけの奇跡と幸運なのかを考えさせられ、人に優しく生きようと思える内容だった。

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