「夏の甲子園第82回大会」チーム打率4割1分3厘の猛打で智弁和歌山が制覇 (2/2ページ)
だが、迎えた8回裏、1死後から武内が右翼席に追撃弾となるソロを打ち込むと、ランナーを2人ためて山野が起死回生の同点3ランを放ったのだ。そしてそのまま延長戦へと突入。11回裏に後藤のサヨナラタイムリーで死闘に決着をつけたのである。
続く準決勝の光星学院(現・八戸学院光星=青森)戦も劣勢の終盤に打線が目覚め、7‐5で勝利。3年ぶり2度目の夏の甲子園決勝へと進んだのだった。
決勝戦の相手は東海大浦安(千葉)。この試合も7回を終わって5‐6とリードされていたが、8回表に打者10人攻撃で一挙5得点。9回にも1点を追加し、終わってみれば毎回の20安打。11‐6の圧勝で夏2度目の全国制覇を果たしたのである。同校のこの大会のチーム打率4割1分3厘は当時の最高記録。初戦から6試合連続2ケタ安打をマークし、1大会通算100安打&11本塁打は現在でも大会記録となっている。まさに空前の猛打で20世紀最後の夏を彩ったのだった。ちなみにラッキーゾーンがあった時代の甲子園球場に当てはめたら、智弁和歌山が放ったチーム本塁打11本は24本にもなっていたという。
(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=