激震プロ野球 セ・パ「監督クビ切り」の嵐(1)結果を残してきたソフトバンク・工藤監督だが…
ペナントレースもいよいよ残すところあと1カ月余り。すでに来季の「監督人事」が大荒れの様相を呈している。盤石とみられたソフトバンク・工藤政権が抱える「内部疾患」から、低調をかこつ球界盟主に勃発した「ヨシノブ外し」の全容まで、インサイドレポート!
8月23日には、最大7ゲーム差をつけられた日本ハムに3タテを食らわせ、2位浮上。首位西武の背中がようやく見えてきたソフトバンクだが、連勝に沸くファンを尻目に、内情はボロボロ。指揮官である工藤公康監督(55)がチーム内で孤立、選手からも総スカンを食らっているというのだ。
「選手とばかりでなく、コーチ陣とも関係が悪化している。工藤監督の契約は19年まで残っているのですが、あまりのチーム状態の悪さに球団内でも、今年の結果いかんでは前倒ししてクビを切るべき、という声が上がっているんです」(地元マスコミ)
思えば、異変の兆候はあった。昨季は2年ぶりに日本一を奪回したものの、その翌日には名伯楽・佐藤義則投手コーチ(63)ら3コーチが退団を発表している。工藤監督就任後の3年間は2度のリーグ優勝と日本一を達成しており、チームが好調な中での陣容の刷新は、異例中の異例だった。
「端的に言って、逃げ出したんですよ。工藤監督は何でも自分でやりたがるタイプで、コーチ陣に対しても、倉野信次投手統括コーチ(43)ら、子飼いの腹心しか信用していない。門外漢の打撃や守備に関する采配にまで口を出すので、チーム全体の雰囲気はかなりおかしなことになっています。主砲・柳田悠岐(29)も『何も言わなきゃいいのにね、監督なんて』と親しい記者に露骨に愚痴をこぼしています」(地元マスコミ)
また、「専門」であるはずの投手起用や指導についても疑問符が付くという。サファテ(37)、岩嵜翔(28)、和田毅(37)らの長期離脱もあり、昨年は3.22だったチーム防御率が、今年は4.09(8月24日時点、以下同)と1点近くハネ上がっている。
「(佐藤)ヨシさんの退団が響いていると、もっぱらです。工藤監督は長く現役を続けただけあり、独自の投手理論を確立していますが、選手への指導もそれぞれの個性を無視して『自分のほうが正しい』と頭ごなしにやってしまう。それが選手からすれば『自分たちをプロ扱いしてくれない』と反発を招く結果を生んでいるのです。投手陣からは特に嫌がられているようです。離脱組も、工藤監督が指揮を執るかぎり戻ってこないとまで言われている」(ソフトバンク番記者)
実はそんな現場の微妙な雰囲気を感じ取ったフロントの「窮余の一策」が、17年の達川光男ヘッドコーチ(63)就任だったという。
「達川さんは言っちゃ悪いけど、“居酒屋にいるおもろいオヤジ”みたいな人。采配面よりもむしろ、選手と監督の間で潤滑油のような働きを期待されていました。ですが、昨季1年間ペナントを戦い、工藤監督とのあまりの野球観の違いが露呈、相いれなくなった。今では基本的に没交渉で、工藤監督付きのスタッフに『お前んところの監督、今何やってんだ?』と嫌味を言うなど、潤滑油どころかカラカラに乾いた関係です。『もう辞める』ともこぼしています」(ソフトバンク番記者)
そんな中、噴出しているのが秋山幸二前監督(56)の再登板待望論だという。
「『工藤は秋山の遺産で勝っているだけ』というのが球団内での“秋山派”の言い分です。選手からそっぽを向かれている工藤監督とは真逆で、選手の自主性を尊重しつつ指導するタイプで信頼も厚かった。秋山さん自身は近年、西武への復帰も視野に入れていたそうですが、辻発彦監督(59)が結果を残している今、その目は消えた。ソフトバンク電撃復帰の機運が高まっています」(地元マスコミ)
工藤監督が不満分子を抑え込むには逆転V、日本シリーズ連覇という圧倒的な「結果」を残すしかないようだ。