『透明なゆりかご』で描かれた「性虐待の重い実態」 (2/2ページ)

日刊大衆

ふだんと変わらない態度で接するアオイに、亜美も少しずつ心を開き、2人きりになった屋上で、アオイに事実を打ち明ける。性虐待をしていたのは「今のお父さんなの」と……。

 今回は性虐待という、非常に重いテーマで、始まりから終わりまで、心臓が締めつけられるような苦しさを感じた。公式のツイッターでも「あらすじをご覧下さい。耐えられないとお感じであれば、視聴を回避して頂いても構いません」と告知をしていたほどだ。

 最初に、亜美が由比産婦人科に母親と来院したシーンで、私はすでに衝撃を受けた。亜美は感情を一切出さず、無の表情で、フードを被ったまま呆然と立ち尽くしている。母親も優しく声をかけてはいるが、娘の靴を脱がす手は震えていた。アオイの回想の中で笑う少女の表情と明るい声との対比で、悲しさはより増大される。

 被害者から虐待していた相手をどう聞き出すのか、非常に気になっていた。人の気持ちをうまく感じとることができないアオイは、亜美の変化に気づけなかったことに後悔していたが、そのことを亜美に伝え「今どう思っているのか、どう感じているのか教えて」と話しかける。相手が「誰なのか」と問いたださないという演出に、優しさを感じた。アオイの言葉に応え、亜美は養父にされていたことが「嫌だった」と語る。

 今回のテーマを映像化するにあたって、相当な苦労があったことは、ドラマのスタッフブログからも窺える。細やかな演出に、演者やスタッフたちの向き合い方も感じられ、心打たれる内容だった。次回はいよいよ最終回。すでに続編を望む声も聞かれる『透明なゆりかご』、どのような終わりを見せるのか、期待して注目したい。

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