PR眞壁貴男、スクラム修正で勝利に貢献。リコー、事務機ダービー制す。

ラグビーリパブリック

168㌢、99㌔。「トイメンはみんな(自分より)大きく、重い」。(撮影/松本かおり)

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毎回ハードな接戦となるこのカード。「お互い、負けられない気持ちが強い」と眞壁。(撮影/松本かおり)

 両社社員を中心としたサポーターの声援に、プレーヤーたちも力が入った。

 9月21日の夜に秩父宮ラグビー場でおこなわれた『事務機ダービー』。接戦となった80分は、リコーがキヤノンに21-17と競り勝った。

 先手をとったのはキヤノン。前半5分、ラインアウトからモールを押した後のフェーズアタックでSO田村優が相手タックルを受けながらオフロードパス。そこに走り込んだFBフレッド・ゼイリンガがインゴールに入った(Gも決まり7-0)。

 しかしリコーは前半24分、相手のオフサイドから得たPKで前進した後のラインアウトからFWがハードワークで前進。その後BKで攻め、CTBティム・ベイトマンがトライラインを越えた(Gも成功で7-7)。

 その13分後、SO堀米航平のPGで勝ち越したリコーは、後半11分にキヤノンのミスから攻め込むと、ラインアウト押し、最後はWTBロトアヘア アマナキ大洋がインゴール左スミにボールを置いて15-10とリードを広げる。後半24分、相手にペナルティトライを与えて一時は逆転を許すも(15-17)、最後の10分強にPGを2つ重ねて勝利を手にした。

 両軍の指揮官が、「ハードに戦い続けた選手たちを誇りに思う」と振り返った80分。先にキヤノンに傾いた流れを引き寄せたのがリコーFWの踏ん張りだった。

 なかでも、序盤は圧力を受けていたスクラムを試合途中に改善したのが大きかった。

 前半37分の勝ち越しPGはキヤノン陣深くのスクラムで相手コラプシングで得たもの。後半11分に奪ったアマナキのトライも、その直線のスクラムを押し込んで得たPKでキヤノン陣に深く攻め込んだから生まれたものだった。

 ブラックジャージーの1番、眞壁貴男が振り返る。

「試合中にうまく修正できました。きつい時間帯もあったけど、落ち着いて対応できた。ミスがあっても、『次』と切り替えた」

 スクラムについても語る。

「相手の1番(東恩納寬太)がプレッシャーをかけてくるのは分かっていたのに受けてしまった。それが序盤でした。相手は(互いのフロントロー間の)ギャップを詰めてきていました。レフリーに『調整してほしい』と言ったのですが、『組めているから』(いいだろう)と。そこで僕らもギャップを詰めたら安定しました。で、自分のサイドが上がれると思ったので、出ました」

 試合の中での対応力こそ、チームと個人の成長の証だろう。

 今季が入社4年目の眞壁。立大時代はトップチームから誘いの声がなかなかかからず、合同トライアウトに参加し、チャンスをつかんだ。よく動ける。機動力を評価されての採用だった。

 しかし、トップリーグの壁は厚かった。

 周囲とのスタンダードの違いを強く感じた1年目。パワー不足は明確で、ボールキャリーで前に出られず、防御でも苦しんだ。リーグ戦の出場はならなかった。

 その反省をもとに時間をかけて体を作った。2年目、3年目、試合出場時間を増やす。

「ただ両シーズンとも、ケガで試合に出られない時期がありました」

 4年目の今季、開幕からここまで全4試合に先発出場。今季の目標である全戦出場に向けて好調を保っている。

 がっちりと出場機会をつかめている理由を、本人は課題の克服が進んでいるからと話す。

「防御のときに足が止まるクセがありました。相手を見てしまう。同じ課題の人たちとトレーニングを積みました」

 意識と技術を変えて、前へ出られるようになった。

 スクラムも改善を加えている。

「去年まではお尻を割って内に入る組み方(頭が内側に入り、お尻がHOから離れて外に向く形)になっていました。それをHOに寄るようにして、お尻もくっつけるようにしました」

 自分だけの組みやすさだけでなく、一体感を優先するようにして信頼と安定感を得た。

 少しずつ進化を重ねる眞壁。しかし、変わらず持ち続けているものこそが、小さな体でもFW最前列で戦えている理由だ。

「高いレベルでプレーしたい。トライアウトを受けたときの、あの気持ちは、いまでも持ち続けています」

 168㌢しかない。キヤノン戦の試合の体重を量ったら99㌔だった。小柄なファイターを支えているのは負けん気だ。

 大学時代、体重を103㌔まで増やしたときに飛び出たお腹は、いまは凹み、筋肉が覆う。

 試合中、FL松橋周平など周囲のバックローたちから、ポジショニングや動きについて指示の声が飛ぶ。

「そういったものにもっと対応していければ、いま以上にブラッシュアップしていけると思っています」

『ダービー』前、いつも以上に会社で応援の声をかけられた。序盤、劣勢にまわったときには「どうにかしなきゃ、と。とにかく勝ててよかった」と笑う。

 資材購買部で働く。次戦のクボタ戦(10月6日/奈良・天理親里)でも1番を背負いたい。

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