日本とは圧倒的に違うヨーロッパの美しい墓地を紹介 (2/2ページ)

心に残る家族葬



■アドリア海に浮かぶ墓地の島「サン・ミケーレ島」


イタリアのヴェネツィア北部に、サン・ミケーレ島という墓地として使われている島がある。なぜそんな島が出来たのか、それは、ヴェネツィアの特殊な歴史にある。

7世紀頃、敵の襲撃から逃れるため、本土から湿地帯の干潟に移り住んだ人々が、干拓を進めて誕生した街がヴェネツィアである。その後、地中海貿易で栄華を誇るが、同時に東方から持ち込まれたペストにより死者が増大。土地の少ないヴェネツィアにとって、墓地の問題は大きかった。

19世紀、ヴェネツィアを征服したナポレオンは、衛生上の問題を考えて、分散していた墓地をサン・ミケーレ島へ集結させる事を決定。それ以降、サン・ミケーレ島は墓地の島となり現在にまで至っている。今もヴェネツィアには、水路以外に交通手段はない。ヴェネツィアで人が亡くなると、ご遺体はゴンドラ(又は専用ボート)に乗ってサン・ミケーレ島へと向かう。

糸杉に囲まれた、墓地と美しい教会だけの静かな死者の世界。この島は、ヴェネツィア人にとっての帰着点なのだ。もしイタリアを訪れるなら、この島へ渡り、ヴェネツィアの歴史を思ってみるのも良いのではないだろうか。

■その他の海外の興味深い墓地


日本とヨーロッパでは、墓地の概念に違いがあるようで、今回ご紹介した墓地以外にも、ヨーロッパで最も美しいと言われる庭園のようなクロアチアの「ミロゴイ墓地」や、誰も埋葬されずにリトアニアの抵抗の歴史を無言で物語る「十字架の丘」など、興味深い墓地がたくさんある。

海外旅行はそう簡単に行けるものではないが、興味がある方は、ぜひ調べて知ってほしいと思う。

「日本とは圧倒的に違うヨーロッパの美しい墓地を紹介」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る