「平成日本シリーズ史」ヤクルトの“野村ID野球”がイチローを封じ込めた! (3/3ページ)

アサ芸プラス

小林の投げ込んだ14球目は低めのボール球だった。この球にオマリーのバットが空を切り三振。続く古田も抑え、ピンチを脱出したのである。すると、直後の12回表にD・Jが値千金の勝ち越しソロ。その裏を小林が抑え、オリックスがヤクルトに一矢報いて待望の今シリーズ初勝利を挙げたのだった。

 だが、次の第5戦でオリックスはついに力尽きる。初回に3番・イチローのソロでオリックスが先制するも、ヤクルトは2回裏に2本の犠飛ですかさず逆転に成功。5回裏にはオマリーのソロでさらに突き放した。結局、オリックス打線はヤクルト先発ブロスの前に7安打1得点と抑えられ、最後は守護神・高津の前に3者凡退。3‐1で勝利したヤクルトが4勝1敗で日本一に輝いたのである。これ以前に過去2回日本一になっていたヤクルトだが、今回は地元・神宮球場で決めた初の日本一だった。

 このシリーズにおけるヤクルトの勝因の一つに、野村監督の巧みな心理戦、駆け引きが挙げられる。マスコミをうまく使い、オリックスのイチローの弱点は「内角高めの速球」と戦前から意識させ、4戦目まで稀代の天才打者を16打数3安打に封じ込めたからだ。それはまさに4勝1敗ながら3試合連続の延長戦にもつれ込んだ“接戦シリーズ”を制した勝負の決め手でもあった。

(野球ウォッチャー・上杉純也)

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