老舗洋菓子店の倒産で表面化 厳しいスイーツ業界の未来 (2/2ページ)

週刊実話

また、それまでスイーツは前出のモンブランのように専門店から購入していましたが、他の商品購入のついでに購入できるスーパーなどの量販店や、コンビニを中心とするホールセールに購買行動が変化し始めたため、専門店に足を運ぶ機会も減少しているのです」

 この傾向は数値にも顕著に現れている。
「スイーツ業界全体の市場規模は、2017年は前年より1%弱落ちて1兆4000億円。専門店は前年比約1%減の8800億円程度だが、反対に量販店、コンビニは前年と比べて約0.7%増。この数字を見てもスイーツ従来の購買パターンが崩れているのは明白でしょう」(業界アナリスト)

 市場シェアも、多くの調査では約2%前後ダウンしている。さらに、専門店には不安要素がある。
「ここにきて百貨店の景気が冷え込んでいる。デパ地下は専門店の大きな販売ルートの一つ。ここが冷え込むと専門店は厳しいですね」(業界関係者)

 一方で、2017年度の総務省「家計調査年報」では、ケーキに関しては一世帯あたりの年間支出平均額は6916円と、10年前より800円上がっている。

 「物価が上がった面も考慮しなければいけませんが、やはりケーキは人気で、まだまだ期待できる商品であることが分かります。加えて期待できるのはインバウンド客が急増していることですね。2013年に1000万人だった外国人旅行客が今は3000万人近くに膨れ上がっていることです」(同)

 その急増したインバウンド客の買い物リストには、スイーツなど菓子類の占める割合が増加しているという。金額でいうと2013年には618億円だったのが、2017年には約1600億円にも達している。

 「インバウンド客は、味はもちろん、洗練された形に感嘆してジャパニーズスイーツを買い求めているといいます。東京オリンピックまでに4000万人に達すると言われているインバウンド客は、スイーツ業界にとって追い風となりそうです」(同)

 とはいえ、このインバウンド需要がいつまで続くかは分からない。
「オリンピック以降に急激に減ることはないと思いますが、インバウンド客がいるうちに活性化につながる新たな対応策を考えなければいけませんね」(同)

 日本のスイーツ業界の未来は、今後の数年で決まるかもしれない。

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