〈企業・経済深層レポート〉関連事業が戦々恐々い ゴーン逮捕の後遺症 (2/2ページ)

週刊実話



 「トランプ政権が保護主義を取る中、貿易戦争に勝つため外資に合資会社を作る際、過半出資を容認するなどオープン性をアピールしています。さらに2019年からEV車(電気自動車)やPHEV車(プラグインハイブリッド)などへのシフトを、自動車メーカーに半強制的に義務付けている。中国は、EV車生産を国内に集結させようと動いていますね」(自動車業界関係者)

 中国進出が遅れたトヨタは総額1000億円規模の投資を行い、中国の自動車メーカー、第一汽車集団や広州汽車集団との合弁工場の建設を急ぐ。2020年には、中国で初のトヨタブランドのEV車を現地生産する予定だ。ホンダも中国事業の拡大に力を入れる。新工場建設で生産能力を年間132万台に高め、2025年までに20車種超えのEV車を投入する計画だ。
「日産は1兆円を投じて、2022年までに260万台体制を作り、今後5年で20車種のEV車を投入する見込みです。世界一のEV車メーカーを目指すのがゴーン前会長の方針でした」(同)

 ゴーン会長が消えた後の日産はどこへ向かうのか。日産関係者の間ではこんな声が蔓延している。
「日本では、日産が販売している乗用車『ノートe−POWER』が2018年上半期の登録車車名別販売台数で1位でした。これは西川廣人氏が社長になってから。ゴーン氏が社長の時代は、国内で売れる代表車がありませんでした。キューブは2008年、エルグランドとマーチが2010年で販売ストップ。目先の利益に目がくらんで国内投資するのは効率が悪いというのがゴーン氏の考えでしたので、国内の販売関係者はみんなヤル気を失っていましたね。だから検査不正も起きたのでしょう。まずは社内の透明性と国内で売れる商品造りに集中すること。これが再出発のカギになりますね」(日産関係者)

 一方で、こんな声もある。
「ゴーン氏は業界でも人気が高かった。日産=ゴーンというように、日本以上に海外では付加価値も付いていたんですよ」(業界アナリスト)

 確かに日産の代名詞である、スカイラインGT−Rを復活させたのもゴーン前会長だった。
「日産にはこの逆境にめげず、さらに素晴らしい車を造ってほしい。それが他の国内メーカーの刺激にもなり、業界全体の躍進にもつながりますから」(自動車メーカー関係者)

 賛否両論あるゴーン前会長の評価。確実に言えることは、日産や関連企業は、今回の事件の後遺症に悩まされることだろう。
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