伝説の大投手・村田兆治「メジャーリーグが一番欲しがったのは…」マサカリ直言で野球界を一刀両断! (2/5ページ)
もともと金田さんは走り込みだけじゃなく、食事法を含め、独自のトレーニング理論を持っていた人。その金田さんが監督になって2年目に日本一になり、俺も日本シリーズで胴上げ投手と最優秀投手になれた。金田さんは、本当に俺の「恩人」と言っていい。
でも、反抗したこともある。ある試合で金田さんが投手交代を告げに来て、俺の手からボールを奪おうとしたとき、思わず手を引っ込めたんだ。金田さんは「監督の命令を聞けないのか!」と怒ったけど、それでも俺はマウンドを降りるのを拒否し、最後は「打たれたら給料はいりません」と大見得を切った(笑)。結局、最後は金田さんが折れて「好きにせい」とベンチに戻って行ったんだ。結果? もちろん抑えたよ。次の打者をダブルプレーに打ち取って、試合は4対2で完投勝利。ただ、しばらくの間、金田さんとは気まずい雰囲気だったな。でも、あの人も前人未到の400勝を達成している大投手だから、エースの心理は理解してくれていたと思う。今でも、金田さんとは野球教室で一緒になる仲。「俺の葬式で弔辞を読んでくれるとしたら、兆治しかいないな」なんて、よく言われるよ。ダジャレみたいだけど、金田さんの本心なんじゃないかな(笑)。
■マンガみたいな魔球、フォークボール
村田氏は1976年に21勝をマークし、81年には19勝8敗で最多勝。通算215勝を挙げた名球会投手だが、簡単に勝ち星を積み重ねられたわけではなかったようだ。
村田 自分のフォークを打席から見ることはできないけど、対戦したバッターの話を聞くと、途中でボールが消えるらしいね。そんなマンガみたいな魔球を打てるわけないよ(笑)。確かに、ワンバウンドするようなボールでも、バットがクルクル回っていた。ベンチから見れば、とんでもないボール球を振っていると感じるから、敵軍の監督は「なんで振るんだ!」と怒っていたらしいね。真っすぐもフォークも腕の振りがまったく同じだから、幻惑されるんだろうな。途中まで真っすぐの軌道できたボールが、スーッと消えるように落ちる。だからバットは止まらない。全盛期は、追い込んでから投げたフォークを打たれた記憶は、ほとんどないかな。
ただ、問題は、このフォークを受けるキャッチャー。