性奴隷にされたエキゾチック・ビューティーが怒りの銃弾を放つ!

まいじつ

(C)Kuznechik / Shutterstock
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映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『バハールの涙』

配給/コムストック・グループ、ツイン 1月19日より新宿ピカデリーほかで全国公開
監督/エヴァ・ウッソン
出演/ゴルシフテ・ファラハニ、エマニュエル・ベルコほか

現在はかなり壊滅状態とはいえ、一時猛威を振るったIS(イスラミックステート)。ほんの数年前の2014年から15年にかけて実際に起きた出来事に着想を得た、対IS抵抗軍の女性部隊の奮戦を描くもの。

リアルなドキュメント・タッチだが、クルド人女性のヒロインを演じるのが、“世界で最も美しい顔100人”に13年から17年にかけて4年連続トップテンに選ばれたゴルシフテ・ファラハニ。ここで、ボクは俄然、身を乗り出すね。『パターソン』(16年)では、主人公であるバス運転手の活発な美人妻役で、見惚れてしまうほどのエキゾチック・ビューティーであった。

ちなみに先の“世界で最も美しい顔100人”だが、日本人では15年版、16年版に石原さとみが連続ランクインされていた(残念ながらゴルシフテの後塵を拝してしまったが、石原は16年版で、4位ゴルシフテに対し6位と肉薄だったぞ)。それにしても、世界ベストテン級の超絶美女=勇猛戦士、というだけでボクは喜んで“全面降伏”じゃ。不純な動機で観てスイマセン。

映画史上最も苛烈な究極のフェミニズム映画

対ISの女性部隊のリーダー格のバハール(ゴルシフテ・ファラハニ)は元弁護士だったが、クルド人居住区でISに襲われ、息子は連れ去られ、自らは“性奴隷”として売られた屈辱の過去があった。必死に脱出した彼女は「被害者でいるより戦いたい」と現在の部隊に入ったのだ。そんな彼女は、戦争記者の女性で隻眼のマチルド(エマニュエル・ベルコ)と次第に心を許し合うようになる…。

とにかく勇猛果敢な彼女たち。そりゃ“性奴隷”にされた恨み骨髄だろう。この怒りの銃弾受けてみよ! なのも無理はない。おまけにISの兵士たちは「女性に殺されたら天国に行けない」と教わっているので、彼女たちとの戦闘を恐れている。彼女に殺された方が天国に行けるような気がするけどねえ。命知らずな彼女たちが劇中で言う「イチかバチかの作戦」を敢行する。♪さあ、女たちが街にやってくる! という勇ましい歌を口ずさみながら、仲間が戦死してもひるまない。クライマックスはトンネルを進んで敵の本拠に躍り出るあたり、欧米のコマンド戦争映画のごとし。エンターテインメント性も十分。戦闘服姿もキマっている。髪が土埃まみれになっても、ボクにはプラチナブロンドに見えるから不思議だ(おいおい)。

助演のアイパッチの女性記者もカッコいいし、これは映画史上最も苛烈な究極のフェミニズム映画なのかもしれない。いざとなったら女性は途方もなく強い、と再確認すること請け合い。

【画像】

Kuznechik / Shutterstock

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