巨人 原監督が長嶋派一掃 阿部へ下す「引退勧告」
1月16日、コーチ会議を行った巨人が、2月1日からスタートする宮崎キャンプのスケジュールを発表。それは3日に早くも紅白戦を敢行するというのだ。
キャンプ序盤は走り込みを中心に体力づくりを行うのが球界の“常識”だ。その後、キャンプ中盤から紅白戦を始め、3月のオープン戦に向けた実戦練習と一、二軍の振り分けを行うのだが、それが今季から一変する。変革の理由とは?
「紅白戦は一軍の若手と二軍選手中心となっているが、ベテラン陣の方が気を揉んでいる。内海哲也、長野久義がFAの人的補償で放逐された今、『次は自分の番か』と…。とりわけ、控え捕手の阿部慎之助は心中穏やかではないだろう。紅白戦の早期実施は、実は中日時代、落合博満監督の『オレ流』を真似た“ロートル狩り”。阿部に引導を渡すのが狙いという情報もある」(スポーツ紙デスク)
中日の監督に就任した当時の落合氏と、今季巨人の監督に就任した原辰徳氏(60)は、チーム状況が酷似している。ともに前年まで4年連続V逸。どん底にあるチームの再建を託され監督に就任したからだ。
そんな当時の落合氏が実施したのが、キャンプ序盤からの紅白戦だった。ベテランも若手も分け隔てなくガチンコ勝負させ、必要な戦力をふるいにかけた。
結果、不満分子になりかねないロートル選手はベンチに追いやられ、監督在任8年でリーグ優勝4回、2位3回。クライマックスシリーズでリーグ優勝した原巨人を打ち負かし、日本一に輝いたこともあった。
当時、敵将として身をもって「オレ流」を体感した原監督。思い切った血の入れ替えと選手の若返りでV奪還を目論んでいるのだ。
それを窺わせたのが、大相撲初場所で初日から3連敗を喫し、引退した横綱稀勢の里への、原監督からのコメントだ。
「燃え尽きたんでしょうね。ご苦労様ですね。相撲の世界の厳しさでしょう」
昨年の秋場所千秋楽から8連敗で、横綱としてはワースト記録を更新。それを考えれば、稀勢の里の引退はしごく当然なのだが、「聞きようによっては、ポジションがないまま巨人ベンチのボスに君臨し続けるベテラン、阿部への当てつけとも取れる」とは、前出のスポーツ紙デスクだ。
阿部は、’00年のドラフト会議で1位指名され、’01年の開幕戦からスタメンの座に座り、正捕手として長嶋巨人、原巨人を牽引してきた功労者だ。しかし、近年は故障続きで、’16年からは一塁手に転向。その一塁にも、昨季から新四番の岡本和真(22)が定着した。今季から捕手に復帰し小林誠司(29)から正妻の座を取り戻す心づもりのようだが、原監督に「捕手・阿部」というプランはない。
「目立たないが、小林は3年連続セ盗塁阻止率1位で投手陣の信頼も厚い。しかもこのオフ、西武から捕手の炭谷銀仁朗(31)を獲得した。若手捕手の大城卓三、宇佐見真吾らも成長しており、これだけライバルが多くては、紅白戦の出番さえないのが現実だ」(同)
とはいえ、阿部は巨人で10年以上にわたってレギュラーを張った選手であり、2000本安打を放った功労者だ。そんな阿部になぜ引導を渡そうと急ぐのかというと、絶対的な権力を手にした原監督が「長嶋人脈」を巨人から一掃したいからだという。
「内海、長野の移籍でミスターゆかりの選手は阿部だけ。仕上げの段階に入ってきている。原監督には、甥の菅野智之と『原・菅野王朝』を築き上げる野望がある」(同)
長嶋派の一掃は、唯一のライバル松井秀喜氏の巨人監督就任を封じることにも通じる。さらに阿部が巨人軍の本流から外れれば、「菅野監督」も見えてくる。
そんな原監督を牽制する巨人の山口寿一オーナーはコーチ会議から2日後の18日、長嶋茂雄終身名誉監督(82)の様子を明かしている。胆石の治療のため昨年7月に入院していたが、昨年末に退院し現在は自宅でリハビリテーションを行っているという。
巨人のキャンプを訪問する可能性については「そこまでは分からない。入院が長かったですから」と言葉を濁したが、健在ぶりを示している。
阿部には「ミットがだめならバットで」と期待する声もある。しかし、今季の巨人はFAで丸佳浩、炭谷を獲得。オリックスから自由契約となった中島裕之も加わり、内外野とも選手層がさらに厚みを増した。
「その移籍組に加えて昨秋から調整を続けている若い吉川尚輝、松原聖弥、和田恋、田中俊太、重信慎之介が完全に仕上がっています。グアムでゆったり調整する阿部が、彼らを打ち負かすことは難しい。キャンプ途中で二軍降格もありそう」(巨人OBの野球解説者)
巨人は一、二軍が同じ宮崎でキャンプを張るのは11日まで。その間に一軍対二軍の“下克上マッチ”を随時組み込み、13日からの一軍沖縄キャンプのメンバーを決める。
阿部は現在、通算本塁打399本と現役選手でトップ。あと1本で史上19人目の400号に到達するが、3月20日で40歳を迎えることを考えれば、正妻獲りどころか、引退の危機に瀕しているのは明らかだ。