日本独自の文化。「お賽銭」を投げ入れる行為は神仏に対して失礼に当たらないの? (2/2ページ)

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これは郵便ポストのように箱の横から入れるものなのだそうですが、こちらにも日本のように「仏様に捧げる」といった発想はないようです。

ちなみにキリスト教が中心の欧米圏では、教会への「寄付」(donation)という形でお金を集めています。日曜礼拝などに行くと、よく讃美歌が流れながら帽子などがまわってきますが、そこにお金をいれるシステムになっています。

このように見ていくと、お賽銭を「神様に捧げる」ことや「投げ入れる」ことは、どうやら日本独自に発達した概念のようですね。

では、なぜ日本人はお賽銭を神仏に向かって投げるのでしょうか。神仏に対して失礼に当たらないのでしょうか?

民俗学研究者である新谷尚紀氏によれば、お金には貨幣としての経済的意味と経済外的意味があり、お金が人の身代わりとして「ケガレ」を引き受ける吸引装置としての役割を担っていたそうです。そして、ケガレの吸引装置としてケガレてしまったもの(貨幣)を投げ捨てることで、投げた本人は祓(はら)え清められ、きれいな心身で神仏の前に立つことができるとのこと。

ちなみに新谷氏によると、このときに投げ入れるお賽銭の量(高いか安いか)は関係ないとのこと。

参拝をする前にケガレタお金を投げ入れることによって、きれいな心身で神様や仏様と向き合うことができるようになる、ということですね。

ただ、神社本庁の公式サイトには、

お賽銭箱にお金を投げ入れるところをよく見かけますが、お供物を投げてお供えすることには、土地の神様に対するお供えや、祓いの意味があるともいわれています。自らの真心の表現としてお供えすることなので、箱に投げ入れる際には丁重な動作を心掛けたいものです。

とあり、お賽銭を投げること自体には問題はないようですが、気持ちを込めて丁寧に入れることが大切とされています。

参考・引用

新谷 尚紀『なぜ日本人は賽銭を投げるのか―民俗信仰を読み解く』 (文春新書) 「お賽銭について」神社本庁公式Webサイト

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