野村克也「俺と巨人ONの真実」史上最高の名監督が激白 (2/5ページ)

日刊大衆

彼らが歩いてきた野球選手としての道は、とても対照的なものだった。

野村 ONはどう思っていたか知らないけど、俺は常に彼らをライバル視して、「負けてたまるか!」という気持ちを抱いていたよ。特に王に対しては、同じホームランバッターとして強く意識していた。王は俺の価値を下げた男だからね。もし王がいなければ、本塁打と打点の通算記録は、今でも俺がトップだったんだから(笑)。俺が作った記録は、ことごとく王に塗り替えられた。シーズン本塁打記録(52本)を破られたときは、悔しさしかなかったな。俺が達成したのは1963年。シーズン最終戦の最終打席だった。その時点で、すでにタイ記録はマークしていたけど、不名誉な記録を残したくないのか、相手投手は全然勝負してこなかった。ボールばっかり投げてきて、さすがに俺も、「この野郎!」って頭に来てね(笑)。ボール球でもお構いなしに、思いっきり踏み込んで打ったんだ。そしたら、弾丸ライナーがスタンドに突き刺さってホームラン。シーズン記録の更新は13年ぶりで、「これで10年は抜かれることはないな」なんて勝手に思っていたら、その翌年だよ。王が、あっさりシーズン55本塁打を打ったのは……。

■王貞治のバッティングは合気道打法

――三冠王を二度達成した世界のホームラン王は、“キャッチャー野村克也”にも火をつけた。戦うリーグは違えども、野村氏は王氏を抑えるべく、徹底的に研究を重ねた。

野村 王のバッティングをひと言で言うなら“合気道打法”だね。バッターボックスに入っても、配球や球種は一切読まない。相手のピッチャーの一挙手一投足にすべての神経を集中させ、来た球をただ打つのみ。ホームランバッターに対する配球のセオリーは、長打警戒の外角低め。でも、王の場合は、それが危険な攻め方になるんだ。王は、外角からボール1、2個分、中に入ったところを最も得意としていて、外角に投げても、ちょっと甘くなれば必ず打たれてしまう。つまり、外角攻めは一番リスクがあるし、王のペースにハマってしまうことにもなる。

 だから、王はインコース主体で攻める。でも、ストレートじゃダメ。ストレートと見せかけて、ボールにちょっと変化をつける。今で言うカットボールみたいな球が有効だったね。

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