視聴率低迷『いだてん』アンチこそ注目してほしいポイントとは? (2/2ページ)

日刊大衆

 この放送回ではマラソンシーンで美濃部孝蔵が実況をするなど、型破りな演出が話題となった。普通のドラマでもそんな設定は珍しいのに、古式ゆかしい大河ドラマでのこのコミカルな演出は、見るものを驚かせた。ただ、このような型破りな部分ばかりが注目され、「今年の大河はいつもと違う」と歴史ファンを遠ざけてしまっているのも、事実だろう。

 しかし、いわゆる時代ものの大河ドラマに親しんできた人でも、今年の『いだてん』は十分に楽しめるはずなのだ。実は『いだてん』では「細かな史実」が丁寧に描かれている。歴史にうるさい人こそ、ストーリーに盛り込まれている史実に注目してほしいのだ。

■『いだてん』は高品質な歴史ドラマだった

 たとえば、第5話のオリンピック予選会のシーン。四三の後輩である野口(永山絢斗/29)が、走っている途中に競技を抜けてパンを盗み食いしたが、これはなんと史実だ。さらに2位に順位を上げた四三が一瞬、1位のランナーとにらみ合ったシーンもいかにもフィクションめいていたが、これも史実に基づいているという。

 こんな「うそのような」仰天事実を上手に盛り込んでいるのが、『いだてん』の特徴なのだ。いつもの大河ドラマと比べて時代が明治以降の話なので、記録資料や情報が多いのかもしれないが、『いだてん』ではこんなトリビアのような話も見事に再現されているのだ。歴史ファンなら、このような細やかなエピソードこそ楽しめるはずだ。

 華やかな演出も多く、確かにこれまでの大河ドラマとは明らかに毛色が違う『いだてん』。それでも歴史考証に基づいた、高品質な「時代もの」であることを、今一度、声を大にして述べておきたい。(ドラマライター・半澤則吉)

※画像はNHK『いだてん』番組公式ホームページより

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